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更なる増収実現!規格外品を減らして反収4tから5.2t

アスパラガス

更なる増収を求めて・・・アスパラガス農家(福島県)

本記事の農家は、2014年よりアスパラガスのハウス立茎栽培(春と夏に収穫する長期どり)を開始しました。栽培開始時より、圃場の土づくりや生育期間中のきめ細かな栽培管理を続け、ファーティゲーション(点滴チューブで灌水と液肥の一元管理)を導入。2018年には反収4t(年間収量)を達成。更なる増収を考えていた本農家が次に着目したのは、現場で廃棄される出荷基準を満たさない、扁平茎や空洞茎、すなわち規格外品を減らすことでした。PsEcoの土壌分析を活用して、基肥・追肥を大幅に見直すことにより、2019年には反収5.2tという驚異的な数字を打ち立てました。本記事では、「反収4tの秘訣」と「分析を活用して反収5.2tへの道のり」についてご紹介します。
品種は、頭部の締まりが良く夏芽も秀品率が高い、太ものが多く多収である品種を選択したとのこと。全雄品種ゼンユウガリバー(パイオニアエコサイエンス社)


写真1 当圃場の外観


写真2 春芽萌芽の様子

1. 反収4tの秘訣

1.1 深耕と堆肥の多量散布

アスパラガスの場合、定植後は地中部の根域の土壌改良は困難なため、定植前の土作りが重要になります。
まずは排水性が良好な圃場を選定し、定植前に油圧ショベル(ユンボ)により50cm以上の深耕。そして、完熟牛糞堆肥を反当り50tとpH調整のための石灰を投入後、全層攪拌されました。その結果、カステラのような軟らかい作土層と充実した根張りを実現。


写真3 作土層50cm下まで充実した根張り

1.2 ファーティゲーション(点滴チューブで灌水と液肥の一元管理)

定植当初から点滴灌水チューブエコノTAPE 508-10を利用されています。
土中深くまで根を張るアスパラガスの場合、水を根域まで浸透させることができる点滴灌水は理想的な方法です。また、一般的な散水チューブと比較して土壌の団粒構造が維持しやすいことが、根張りの改善に繋がります。加えて、ハウス内は適度な湿度に保たれますが、作物に直接水がかからないため、病気の発生は抑えられます。
追肥についても、点滴灌水チューブで灌水と同時に液肥を与えるファーティゲーションを採用しているため、粒状肥料の置き肥と比べて、液肥が確実に根域に浸透し、即効的に施肥効果を発揮します。


写真4 点滴灌水チューブの設置


写真5 奥深くの根域までピンポイントに灌水

1.3 定期的な葉面散布

梅雨時期の日照不足や夏場の高温・乾燥などにより根張りが低下した場合、ファーティゲーションだけに頼らず葉面散布がポイント!5月上旬の立茎開始頃から10月中旬の養分転流期まで定期的に葉面散布されています。1~2週間に1回実施する農薬散布時に亜リン酸、微量要素、酵素を混用して散布することで、光合成能力の高い二次擬葉、根張りの改善、萌芽の促進に努めました。また、微生物資材も併せて混用散布することによって免疫力も高まります。
「亜リン酸」資材の例:PSダッシュMEネオ
「微量要素」資材の例:微量要素の宝船
「酵素」資材の例:アーキア酵素むげん
「微生物」資材の例:PSコレイーネ


写真6 側枝と擬葉の様子

1.4 下枝や二次擬葉の整理

夏芽の収穫時期より、下枝とともに擬葉から発生する二次擬葉の整理を実施されています。特に二次擬葉の整理は、収穫作業以上の労力を要しますが、受光体制が良くなることで、擬葉が長く太くなり、そして光合成能力が高くなります。その上、ハウス内の通気性が良くなりますので、結果的に斑点病や褐斑病等の病気やスリップス等の害虫被害が抑えられます。


写真7 艶のある太くて長い擬葉

2. 土壌分析を活用して反収5.2tへ

反収4tを達成し更なる増収を目指す中、課題となったのは毎年一定量発生する扁平茎と空洞茎などの規格外品でした。何をどのように改善すればよいのか模索する中、PsEcoに土壌分析を依頼した結果、意外な問題点が明らかになりました。

2.1 土壌分析結果(2018年)と分析結果に基づく処方

2018年12月の土壌分析結果は、硝酸態チッソ・リンサン・カリウムの過剰、そして高ECの問題を浮き彫りにしました。空洞茎と扁平茎の発生は、一般的にカルシウムやホウソの欠乏が原因であることが多いですが、当圃場においては、カルシウムは欠乏しておらず、むしろ土壌中に多量に存在していました。このことから疑われた点は、カリウムの塩基バランスが高いため拮抗作用により、カルシウムやホウソの吸収が阻害されていたことです。また、一般的に、牛糞堆肥中には相当量のカリが含まれています。今回のカリ過剰の原因は、定植前の50t/反の牛糞堆肥と毎年散布される3t/反の牛糞堆肥であると予想されました。
そのため、以下の通り、基肥や追肥を大幅に見直ししていただきました。

基肥の変更と堆肥の減量
チッソ・リンサン・カリの基肥を中止し、逆に不足している微量要素を補給するために微量要素肥料を施肥。そして、これまで施用してきた牛糞堆肥3t/反を1tに減量し、替わりに肥料成分が含まれていない液状腐植酸を点滴チューブで施肥。
液剤タイプの腐植酸はかん水するだけでカンタンに土づくり(団粒構造改善と塩類分解)が続けられます。さらに土壌改良に欠かせない「微生物」も活性化します。
有機物の分解や団粒構造の形成、肥料の分解や作物の養水分吸収の促進、土壌病害の抑制と根の保護、土づくりと作物の生育には微生物が大きく関係しています。肥培管理と併せて、微生物資材および微生物を活性化させる資材の活用が必須です。
「微量要素」資材の例:健作くん
「液状腐植酸」資材の例:PSアクティベーター
「微生物」資材の例:PSバイオギフトLIQ

点滴灌水チューブを利用した液肥の追肥メニューの変更
チッソ・リンサン・カリ入りの一般的な液肥から、リンサン・カリウム成分を抑えた微量要素入りのアスパラガス専用液肥に変更。カルシウム不足を補うために、硝酸カルシウムの追肥と吸収効率の良いキレートカルシウムの葉面散布。また、土壌に集積したリンサンやカルシウム、微量要素を溶解して有効化させるために有機酸の追肥。高ECによる根傷みを回復させるための海藻エキスや酵素を併せて追肥。

「アスパラガス専用液肥」資材の例:アイミックス6号
「キレートカルシウム」資材の例:PSカル
「有機酸」資材の例:PSリンク
「海藻エキス」資材の例:PSマリンパワー
「酵素」資材の例:アーキア酵素むげん


2018年土壌分析結果

2.2 肥培管理の変更により空洞茎と扁平茎が激減

2019年のアスパラガスは、基肥の減量により土壌ECが適正に改善されたことや春芽開始前から上述の発根を促進するための資材を追肥したこともあり、例年以上に根張りが充実。そのため春芽収穫期、その後の立茎期も良好に生育。課題であった夏芽収穫開始と同時に多発していた空洞茎や扁平茎もほとんど見られなかったため、春芽2t、夏芽3.2t 計5.2tと言う驚異的な反収を達成されました。


写真8 9月中旬の夏芽の状況

2.3 土壌分析結果(2019年)も改善

2019年12月の土壌分析結果では、大幅な基肥・追肥の変更により、土壌中の硝酸態チッソとカリウムの過剰や高ECの課題が改善され、塩基バランスも全て適正レベルに改善されています。今回の事例のように、土壌分析結果に基づいて基肥や追肥を見直すことにより、短期間でも土壌の状態、作物の生育は劇的に変化しますので、土壌分析は継続的に実施することが必要です。アスパラガスの場合、基肥設計のための基肥散布前と追肥を調整のための夏芽収穫前期が最適なタイミングです。


2019年土壌分析

アスパラガス

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