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堆肥の多投にご注意!定植前に正しい土づくり

アスパラガス

アスパラガスは別名「畑の豚」と言われ、堆肥や肥料を与えれば与える程収量が上がるという認識がありませんか?定植前に大量の堆肥を散布する状況を多く目にします。その結果、フカフカとした団粒構造が発達した土が出来上がるように見えますが、一方で弊害も散見されます。本記事では、堆肥による土づくりの問題点および堆肥との上手な付き合い方をご紹介します。

1. 堆肥の肥料成分量

アスパラガスの多収のポイントは、第一に土づくり。50cm前後の深耕と30~50tの完熟堆肥の散布が推奨されていますが、大量な堆肥を散布した場合、その中に含まれる肥料成分を無視できません。
下表は、代表的な堆肥の有効成分量を示したものですが、仮に反当り40tの木質牛糞堆肥を作土層40cmに散布した場合、定植1年目の根域(作土層20cm当り)の有効成分量はチッソ:34kg、リン酸:66kg、カリ77kgとなります。
一方、アスパラガス反収1tの場合の肥料の吸収量は、チッソ:19.0kg、リン酸:7.3kg、カリ21.2kg(長崎総合農林試のデータより引用)であり、基肥の散布を控えたとしても、チッソ・リン酸・カリが過剰となります。

下図1は「牛糞堆肥反当り50tを50cmの作土層に散布した圃場の土壌分析結果の事例」ですが、特に硝酸態チッソ・カリの分析値が非常に高いです。塩基バランスの点でも、カリが非常に高く、逆にカルシウムが非常に低くなっています。

2. 堆肥多投の問題点

堆肥の多投により、現場では以下の問題が散見されます。

2.1 カリ過剰による拮抗作用→カルシウムやホウソの吸収低下→茎枯病・褐斑病・斑点病・アザミウマなど病害虫の発生+空洞茎・扁平茎の発生→収量・品質の低下!

土壌中のカリウムはカルシウムやホウソとの拮抗作用があります。土壌中にカリウムが多量に存在している場合、植物はカルシウムやホウソを吸収しにくくなります。植物の細胞壁を作るカルシウムやホウソの不足はアスパラガスの軟弱化を招き、茎枯病・褐斑病・斑点病等の病気やアザミウマなどの病害虫の発生、被害を助長します。また、カルシウムやホウソの欠乏としてよく知られている、空洞茎や扁平茎などの奇形茎も多発します。

写真1 空洞茎


写真2 扁平茎

2.2 チッソ過剰→茎枯病・褐斑病・斑点病・アザミウマなど病害虫の発生+奇形茎の発生→収量・品質の低下!

堆肥多投によってカリウムの蓄積だけではなく、チッソ、リンサン、カルシウム、マグネシウム等も蓄積されます。更に習慣的に施肥される基肥や追肥の化学肥料が、土壌の養分蓄積問題に拍車をかけます。特に、チッソ過剰は問題となるケースが多く、カリウムの過剰同様、アスパラガスが軟弱徒長するため、病害虫の発生、被害を助長します。また、頭部の変形やゴツゴツ感のある茎など奇形茎の原因になります。

写真3 斑点病や褐斑病


写真4 アザミウマ被害


写真5 頭部の変形

3. 定植前の堆肥投入のポイント

アスパラガス多収のためには、一定量の有機物の投入は必須ですが、いかにチッソやカリ成分の投入を抑えるかが鍵になります。具体的には、以下の点がポイントになります。

3.1 深耕は最低40cm 畝の部分だけでなく通路部分も必ず実施する。

畝だけ深耕する場合がありますが、その場合通路部分の根張りが極端に低下します。

3.2 反当りの散布量の目安は30~50t。

但し牛糞堆肥のみの場合、特にカリが過剰になるため、カリ成分が比較的少ないバーク堆肥や肥料成分を含まない腐植酸資材を併用します。
例)牛糞堆肥 反当り 25t + 腐植酸資材 250kg

腐植酸資材は、微生物が力を発揮(増殖・活性化)するためのエサとして非常に有効です。土の胃袋を大きくして、作物が肥料を吸収する容量も劇的に上げます。保肥力の向上と肥料成分の有効化(キレート化)にも働き、作物の養分吸収が円滑になります。根と微生物が働きやすい土壌環境(通気性・排水性・保水性)づくりには欠かせません。

3.3 牛糞堆肥を投入する場合は、低リン酸・低カリタイプの基肥を使用。

下図2は「牛糞堆肥反当り25t+腐植酸資材250kgを50cmの作土層に散布した圃場の土壌分析結果の事例」ですが、硝酸態チッソ・カリの分析値がやや高いものの、牛糞堆肥反当り50t散布した場合と比較すると、概ね半分以下に抑えられています。また、塩基バランスの点でも、カリが高いものの、カルシウムは適正レベルを維持できています。

腐植酸資材 例:フミリカ
低リン酸・低カリタイプの基肥 例):PS有機入りロング1号

4. 定植後の堆肥投入のポイント

4.1 定植後は畝や通路の表面への散布となり、土づくり効果も肥料効果も土壌表面付近に限定されるため、反当りの散布量の目安は1~3t程度。

4.2 最近、堆肥の替わりに液状の腐植酸を使用するアスパラガス農家が増加!

液状の腐植酸は土中に浸透し易いため、地下10~30cmに分布する根域部の土壌を改善してくれます。具体的には、春芽の萌芽前に一度に反当り2~3Lの腐植酸を500~1,000Lの水に溶かして土壌表面へ散布、または、生育期間中月1回程度定期的に灌水チューブにより追肥。

液剤タイプの腐植酸はかん水するだけでカンタンに土づくり(団粒構造改善と塩類分解)が続けられます。さらに土壌改良に欠かせない「微生物」も活性化します。
有機物の分解や団粒構造の形成、肥料の分解や作物の養水分吸収の促進、土壌病害の抑制と根の保護、土づくりと作物の生育には微生物が大きく関係しています。肥培管理と併せて、微生物資材および微生物を活性化させる資材の活用が必須です。
「液状腐植酸」資材の例:PSアクティベーター
「微生物」資材の例:PSバイオギフトLIQ

上述の対応がポイントになりますが、土壌中の肥料成分で何が過剰で何が不足しているのかは、土壌分析を行なわなければ分かりません。PsEco土壌分析では、堆肥や有機物由来の肥料成分も考慮した、基肥・追肥の設計を行います。

5. 堆肥の微生物性改善の効果

完熟堆肥は、物理性・化学性の改善とともに、微生物性も改善すると言われてきました。しかし、完熟堆肥を入手することが困難な昨今、未熟な堆肥はかえって微生物性を低下させ土壌病害が心配との声も聞こえてきます。土づくりと作物の生育には微生物が大きく関係しています。土壌中の有効微生物を多様化するため、微生物資材も複数をバランス良く組み合わせて使用することが必要です。
微生物資材 例:微生物とその棲家
微生物資材 例:PSコレイーネ
微生物資材 例:PSバイオギフト

アスパラガス

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