苗半作という言葉がありますが、なぜ良質な苗づくりが必要なのか?イチゴの場合、頂果房(1番果)の収量の大半は苗質によって決まるからです。
国内有数のイチゴ生産地であり、栽培激戦区として知られる栃木県で栽培される品種「とちおとめ」を例に挙げながら、既存のイチゴ農家からこれから栽培を始める農家も、「良質なイチゴ苗作り」を是非ご覧ください。
栃木の代表品種「とちおとめ」を例に話をしますが、平均的な頂花房(1番果)の花数は約15花/株ですが、トップクラスの農家では25花を付け、ほとんど摘果しません。反対に、苗の状態が悪いと花数は10花程度まで減少します。
良質な苗とは!
以下の1.~4.が、良質な苗を栽培するための最重要作業です!
クラウン径の太い苗を育てる栃木県のトップクラス農家は、遅くとも7月10日までに苗の「受け、挿し」作業を完了し、9月15日前後に定植をします。つまりクラウン径の太い苗を作る農家は、少なくとも約2ヶ月以上の育苗期間を確保していることになります。この2ヶ月という期間は、「受け、挿し」作業が完了してから、という点にご注意下さい。
「受け苗」方式と「挿し苗」方式
親株とランナーでつながった状態で苗を植える「受け苗」方式は、苗が親株から養水分を供給されるので、根の活着がスムーズです。しかし作業負荷が大きく、ランナーを切り離して植える「挿し苗」方式の約3倍の作業量になるといわれています。一般的に根の活着までに要する日数は1週間程度ですが、「挿し苗」の場合は活着が難しく、欠株が発生することもあります。
写真1 受け苗の作業風景
写真2 挿し苗の作業風景
*「とちおとめ」は活着しづらい品種です。1日でも早い活着のためには、遮光や葉水がポイント!
・遮光として完全に活着するまでは、遮光率60~80%の資材で被覆して下さい。活着が確認できたら、遮光率50%の資材へ交換して下さい。
・葉が「うっすらと」濡れる程度の葉水を1日数回行って下さい。
*発根や光合成を促進する液状資材の潅水や葉面散布が必要です!
無事に根が活着したら、その後は根張りの促進に努めます。根張りのよい苗はポット底部まで白く細かな根が発達しています。
・「海藻エキス」資材の例:PSマリンパワー
・「酵素」資材の例:アーキア酵素むげん
・「微生物」資材の例:PSコレイーネ、PSバイオギフトLIQ
写真3 根張りの良い苗
写真4 根張りの悪い苗
1株あたりの葉数が多すぎると受光態勢が悪化し、光合成効率を激減させます。適度な「葉かき」により、その後の葉の展開が速まります。その結果、株の成長を促しクラウンが太くなる、ということです。
過繁茂による風通しの悪い部分、特に株元の通気性が悪化すると病害虫の温床になります。さらに、薬剤や葉面散布資材の散布ムラを生じるといった問題も発生するため、「葉かき」は特に重要です。
「葉かき」作業のポイントは以下の3点!
写真5 クラウン(矢印)径が10mm以上ある
写真6 「葉かき」後の葉数2.5~3.5枚の苗
良質な苗を作るには、育苗期間中に病虫害被害を出さないことが前提です。特に炭疽病と疫病には注意して下さい。ダニ対策も重要です。
ポイントは以下の8点!
写真7 雨よけハウスの例
写真8 点滴チューブによる灌水
具体的には、毎朝1回の頻度で培土全体が湿る程度に潅水して下さい。日中に培土が極度に乾燥する場合には、午後の早い時間に少量のかん水で補います。夕方に大量の潅水を行うと培土が乾かず葉が濡れている時間も長くなり、病気発生リスクが高まります。
適切な施肥(追肥)
良質な苗作りのポイントは、液肥による生育調整です!
「活着、発根促進」・「葉色改善」・「徒長防止」・「梅雨時期の日照不足や梅雨明け後の高温ストレスの軽減」・「免疫力の強化」など、生育状況と天候を観察しながらの対応力が必要です。文末に有効な商品をご紹介しています。
対策例
頂花房(1番果)25花をつける農家は、育苗期間中、タブレットや粒状肥料の置肥も必要ですが、葉色や葉のサイズを観察して、追肥(液肥)による生育調整をしています。
日照不足で葉色がうすく生育が弱い時には、アミノ酸や微量要素の補給が必要です。
「アミノ酸、微量要素入り」液肥の例:PSパワーアミノ2号
チッソ不足は芽無し株を招きやすくなりますが、チッソ過剰は花芽分化の遅れや病気の発生リスクを招きます。花芽分化の遅れによって未分化の状態であることに気付かず苗を定植してしまうと、収穫開始が大幅に遅れてしまいます。(1ヶ月以上遅れる事も)
→葉色改善・花芽分化の促進・発根促進のための液肥による生育調整については、文末に有効な商品をご紹介しています。
写真9 徒長していない苗(締まっている苗」という表現もあります)
写真10 徒長気味の苗
イチゴは市場価値が高く、収益性が高いため人気作物です。その反面、ハウス建設費用、施肥潅水装置や電照、炭酸ガス装置など設備投資は大きく、管理作業も大変です。
イチゴ栽培の設備環境を整え、いざ栽培を始めると・・・。最初につまずくのは「苗作り」であり、長年イチゴを栽培する中でも課題となるのが「苗作り」です。
高収益をコンスタントに挙げている猛者農家は、良質な苗作りを実践しています。文字通り「言うは易し行うは難し」ですが、本記事の読者が少しでも頂花房(一番果)の収穫量を多く採れることを願っています。
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「土作り」から「あなたの夢」まで寄り添います。
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