当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

イチゴ_良質な苗作り

イチゴ

苗半作という言葉がありますが、なぜ良質な苗づくりが必要なのか?イチゴの場合、頂果房(1番果)の収量の大半は苗質によって決まるからです。

国内有数のイチゴ生産地であり、栽培激戦区として知られる栃木県で栽培される品種「とちおとめ」を例に挙げながら、既存のイチゴ農家からこれから栽培を始める農家も、「良質なイチゴ苗作り」を是非ご覧ください。

そもそも「良質なイチゴ苗」とは、何か?

  • 栃木の代表品種「とちおとめ」を例に話をしますが、平均的な頂花房(1番果)の花数は約15花/株ですが、トップクラスの農家では25花を付け、ほとんど摘果しません。反対に、苗の状態が悪いと花数は10花程度まで減少します。

  • 良質な苗とは!

    • 根張りが良い
    • 株が締まっている(徒長していない)
    • 地際のクラウン径が10mm以上
    • 病害虫被害がない

以下の1.~4.が、良質な苗を栽培するための最重要作業です!

1. 十二分な育苗期間の確保と「いち早い」活着

1.1 まず「育苗期間の長短」が、定植時の株のクラウン径に大きく影響します。

クラウン径の太い苗を育てる栃木県のトップクラス農家は、遅くとも7月10日までに苗の「受け、挿し」作業を完了し、9月15日前後に定植をします。つまりクラウン径の太い苗を作る農家は、少なくとも約2ヶ月以上の育苗期間を確保していることになります。この2ヶ月という期間は、「受け、挿し」作業が完了してから、という点にご注意下さい。

「受け苗」方式と「挿し苗」方式
親株とランナーでつながった状態で苗を植える「受け苗」方式は、苗が親株から養水分を供給されるので、根の活着がスムーズです。しかし作業負荷が大きく、ランナーを切り離して植える「挿し苗」方式の約3倍の作業量になるといわれています。一般的に根の活着までに要する日数は1週間程度ですが、「挿し苗」の場合は活着が難しく、欠株が発生することもあります。


写真1 受け苗の作業風景


写真2 挿し苗の作業風景

1.2 「受け、挿し」作業開始時期と同じくらい重要なのが、「活着」です。

*「とちおとめ」は活着しづらい品種です。1日でも早い活着のためには、遮光や葉水がポイント!
・遮光として完全に活着するまでは、遮光率60~80%の資材で被覆して下さい。活着が確認できたら、遮光率50%の資材へ交換して下さい。
・葉が「うっすらと」濡れる程度の葉水を1日数回行って下さい。

*発根や光合成を促進する液状資材の潅水や葉面散布が必要です!
無事に根が活着したら、その後は根張りの促進に努めます。根張りのよい苗はポット底部まで白く細かな根が発達しています。
・「海藻エキス」資材の例:PSマリンパワー
・「酵素」資材の例:アーキア酵素むげん
・「微生物」資材の例:PSコレイーネPSバイオギフトLIQ


写真3 根張りの良い苗


写真4 根張りの悪い苗

2. 葉かきの徹底

1株あたりの葉数が多すぎると受光態勢が悪化し、光合成効率を激減させます。適度な「葉かき」により、その後の葉の展開が速まります。その結果、株の成長を促しクラウンが太くなる、ということです。

過繁茂による風通しの悪い部分、特に株元の通気性が悪化すると病害虫の温床になります。さらに、薬剤や葉面散布資材の散布ムラを生じるといった問題も発生するため、「葉かき」は特に重要です。

「葉かき」作業のポイントは以下の3点!

  • 「葉かき」後の葉数は、2.5-3.5枚が目安。 育苗期間中、この枚数を維持すること。夏場は6日前後の間隔で葉が展開することを念頭に入れて作業計画を立てます。
  • 「葉かき」後の傷口が乾きやすい、晴天時に行うこと。 病気予防。
  • 病気を防ぐため、作業終了後は薬剤散布を行うこと。


写真5 クラウン(矢印)径が10mm以上ある


写真6 「葉かき」後の葉数2.5~3.5枚の苗

3. 病害虫予防の徹底

良質な苗を作るには、育苗期間中に病虫害被害を出さないことが前提です。特に炭疽病と疫病には注意して下さい。ダニ対策も重要です。

ポイントは以下の8点!

  • 育苗ハウスは、風通しが良く、排水性の良い場所に設置すること。
  • 降雨による病気の伝染防止のため、育苗作業は雨よけハウス内で行うこと。
  • 前年使用したプランター、トレイやピンなどの資材は、必ず洗浄し消毒すること。
  • 排水性と保水性に優れた培土を使用すること。
  • 苗が密にならない様、出来るだけ間隔を空けてプランター、ポットを並べること。
  • 殺菌剤、殺虫剤の予防散布、ローテーション散布(薬剤への耐性対策)を徹底すること。ダニ対策については、成虫だけではなく卵(殺卵剤)も徹底防除すること。
  • 罹病した親株と子苗の早期発見と早期廃棄(圃場外への持ち出し)を徹底すること。
  • 潅水を行う際には、培土の泥はねに十分気をつけること。泥はね→病気の伝染(泥はね対策に点滴潅水を導入するのは、新しい効果的潅水方法です!)。


写真7 雨よけハウスの例


写真8 点滴チューブによる灌水

4. 適切な潅水と施肥(追肥)

  • 適切な潅水
    風通しの良い場所で苗作りを行うことが重要です。一般的に多湿環境が続くと、炭疽病や疫病のリスクが高まります。多湿は、株を徒長させます。反対に、乾燥が続くと、生育遅延や萎黄病の発生リスクが高まります。天気と培土の水分を観察し、潅水には十分に気をつけて下さい。

具体的には、毎朝1回の頻度で培土全体が湿る程度に潅水して下さい。日中に培土が極度に乾燥する場合には、午後の早い時間に少量のかん水で補います。夕方に大量の潅水を行うと培土が乾かず葉が濡れている時間も長くなり、病気発生リスクが高まります。

  • 適切な施肥(追肥)
    良質な苗作りのポイントは、液肥による生育調整です!
    「活着、発根促進」・「葉色改善」・「徒長防止」・「梅雨時期の日照不足や梅雨明け後の高温ストレスの軽減」・「免疫力の強化」など、生育状況と天候を観察しながらの対応力が必要です。文末に有効な商品をご紹介しています。

  • 対策例

    • 頂花房(1番果)25花をつける農家は、育苗期間中、タブレットや粒状肥料の置肥も必要ですが、葉色や葉のサイズを観察して、追肥(液肥)による生育調整をしています。
      日照不足で葉色がうすく生育が弱い時には、アミノ酸や微量要素の補給が必要です。
      「アミノ酸、微量要素入り」液肥の例:PSパワーアミノ2号

    • チッソ不足は芽無し株を招きやすくなりますが、チッソ過剰は花芽分化の遅れや病気の発生リスクを招きます。花芽分化の遅れによって未分化の状態であることに気付かず苗を定植してしまうと、収穫開始が大幅に遅れてしまいます。(1ヶ月以上遅れる事も)

→葉色改善・花芽分化の促進・発根促進のための液肥による生育調整については、文末に有効な商品をご紹介しています。

  • 梅雨明け後の異常な高温への対策として、遮光を実施する農家が増えています。しかし遮光は、軟弱徒長にもつながります。徒長防止には、リン酸、カリ、カルシウム、微量要素による茎葉の強化が必要です。
    「亜リン酸+カリ+微量要素」液肥の例:PSダッシュMEネオ
    「キレートカルシウム」液肥の例:PSカル


写真9 徒長していない苗(締まっている苗」という表現もあります)


写真10 徒長気味の苗

イチゴは市場価値が高く、収益性が高いため人気作物です。その反面、ハウス建設費用、施肥潅水装置や電照、炭酸ガス装置など設備投資は大きく、管理作業も大変です。
イチゴ栽培の設備環境を整え、いざ栽培を始めると・・・。最初につまずくのは「苗作り」であり、長年イチゴを栽培する中でも課題となるのが「苗作り」です。
高収益をコンスタントに挙げている猛者農家は、良質な苗作りを実践しています。文字通り「言うは易し行うは難し」ですが、本記事の読者が少しでも頂花房(一番果)の収穫量を多く採れることを願っています。

イチゴ

関連商品

PSパワーアミノ2号

基肥的存在の有機ミネラル液肥!3大栄養に加え、有効微生物の餌になる各種アミノ酸+微量要素群を配合!微生物を育て、土を育て、作物を育てます!「点滴チューブにも詰まらない」スグレモノ! 10缶セットでさらにお得!

10,868 (税込) / 20 kg

PSカル

キレートカルシウム液肥の傑作!カルシウムの2大問題を即効解決!若い葉や果実など欲しい所に届きにくい(効果性)、リンサン液肥と混用できない(作業性)。効果の違いは主原料の差!キレート効果が高いEDTAカルシウム。うれしいお徳用サイズ10L、20Lも!

16,940 (税込) / 5 L

PSダッシュMEネオ

リン酸の利用効率をついに改善した「亜リン酸」に、カリと微量要素を配合。だから、葉面散布でもかん水でも「吸収」と「転流」が即効的!そして、驚きの免疫力アップ効果!うれしいお徳用サイズ10L、20Lも!

22,385 (税込) / 5 L

アーキア酵素むげん

どんな肥料や土壌改良材でも、効果を倍化させるアクセレレーター!土壌改良!発根促進!光合成促進!免疫強化!食味向上!古細菌由来だから地温・pHが高くても、低くても ながーく効く。いつも手元に置いておきたい逸品!

28,259 (税込) / 10 L

土壌・植物・水質分析について

「土作り」から「あなたの夢」まで寄り添います。
PsEcoは、その夢を実現するため、常に農家の皆様一人ひとりと繋がっています。

現場の様々な情報と分析結果を活用し、必要なものを必要な量だけ。高品質で高収量、無駄なコスト削除。
バイオロジカルでエコロジカル、さらに持続可能な農地環境の創造をご提案いたします。
分析料金は、各分析(土壌・植物・水質)1検体あたり11,000円(税込)です(別途、検体の発送料が必要です)。

分析を注文する
>