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イチゴ_親株育成期&育苗期の「萎黄病」「炭疽病」「疫病」対策

イチゴ

梅雨時期の長雨・梅雨明け後の猛暑、文字通り異常気象の近年、親株や定植苗での「萎黄病」「炭疽病」「疫病」被害は深刻!大幅な収量減!

  • 親株や定植苗が枯れてしまうと、定植時に株の数が不足します。
  • り病した株を本圃に植えてしまうと、圃場全体に蔓延し、株を枯らしてしまいます。
  • さらに!これらは土壌伝染病であるため、土壌消毒が不十分だと、次作でも猛威を振るいます。

苗半作という言葉がありますが、苗がなければイチゴ栽培はスタートできません。本記事では、親株育成期と育苗期の土壌伝染性の病気の対策についてご説明します。


写真1 育苗期の炭疽病被害


写真2 本圃で蔓延した炭疽病被害

イチゴの主な土壌伝染性の病気と特徴(病名と、症状や発生要因)

萎黄病
・導管の褐変に伴う新葉の奇形が特徴
・高温や乾燥などの根傷みが起こる条件下で発生しやすい
・ランナー内の導管を経由して感染する
・菌の生育適温は28℃前後

炭疽病
・クラウンは侵入部から中心に向かって赤褐色になる
・葉に黒色小斑点が見られる場合もある
・高温や多湿条件で発生しやすい
・降雨や灌水時の泥はねによって菌が飛散し伝染する
・葉かきや芽かきの傷口から感染することが多い
・菌の生育適温25~30℃

疫病
・クラウンは侵入部から中心に向かって赤褐色になる
・症状は炭疽病と酷似している
・高温や多湿条件で発生しやすい
・降雨や灌水時の泥はねによって菌が飛散し伝染する
・葉かきや芽かきの傷口から感染することが多い
・菌の生育適温28~30℃

定植苗を健全に育てても、定植する本圃土壌の消毒が不十分では意味がありません。イチゴ本圃の土壌消毒について、別ページの「イチゴ_本圃の土壌消毒ポイント」にて重要な点を分かりやすく説明しています。

親株育成期&育苗期の病気対策
絶対条件は、定植する親株が罹病していないこと。必ず、親株は毎年無病苗を購入!その上で、以下の対策を徹底することが重要となります。早速見ていきましょう!

1. 資材消毒の徹底

前作の親株育成や育苗で使用したプランター、ポット、トレイやランナーピン等の資材は、今作利用前に必ず、きれいな水でしっかりと洗浄し、イチバンケミクロンGなどの資材消毒剤で消毒して下さい。


写真3 前作の土などが残った資材はきれいな水でしっかりと洗浄する


写真4 消毒剤「イチバン」による育苗トレイの消毒風景

2. 適切な栽培環境の整備

2.1 雨よけハウス!

降雨による伝染防止のため、親株育成及び育苗には、雨よけハウスが必須です。


写真5 2.1 雨よけハウス(外観)

2.2 良好な風通し!

  • 雨よけハウスは、良好な風通し(通気性)が確保できる場所に設置して下さい。
  • 循環扇や扇風機を導入し、気温や湿度が高い時間の換気も効果的です。


写真6 2.2 ハウスの温度と湿度を下げる循環扇

2.3 ハウス内の水溜まりに注意!

  • ハウス内土壌の排水性が悪いと、灌水後や雨水が流入した際、ハウス内に水溜りができます。→ハウス内湿度を高め、病気発生リスクを大きく助長します。雨よけハウスは、水はけの良い場所に建てることをお奨めします!
  • また、ハウス外縁に明渠排水を実施し、雨水の流入を防ぐこともポイントです。

2.4 防草シートで泥はね防止!

  • 灌水や雨水などによる株への泥はねは、病気の感染を助長します。ハウス内に防草シートを敷くとことで、泥はねのリスクを減らすことができます。


写真7 2.4 泥はね防止用の防草シート

2.5 育苗用ベンチの利用!親株や子苗は、地面からできるだけ離して管理!

  • 萎黄病、炭疽病や疫病は、土壌伝染性の病気です。
  • 育苗用ベンチにより親株や定植苗を地面から離して、泥はねによる病気の伝染を回避します。
  • 親株から伸びるランナーが生長して、気が付かないうちに地面と接触している事例が見られます。注意して下さい!


写真8 2.5 親株や子苗を地面から離す為のベンチ

3. 軟弱徒長株はNGです!

  • 軟弱で徒長気味の親株や子苗は、罹病のリスクが高まります。
    チッソの過剰施肥を控えるのはもちろんの事、さらに重要なのが!リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウムおよび微量要素、バランスの取れた追肥(かん水と葉面散布) です!茎葉を強化し、免疫力を高めましょう!

但し!治療よりも予防です。徒長前からの予防散布がポイントです!

  • 根張りが弱いと軟弱徒長になりやすい!
    梅雨時期の長雨、梅雨明け後の猛暑と、文字通り異常気象の条件下では、根が張りづらいです。生育の土台は根張りです!


写真9 徒長のない締まった苗


写真10 徒長気味の苗

4. 芽かきや葉かきによる株周りの整理+密植にならないよう間隔を空けての管理が重要!

  • 芽かきや葉かき作業が遅れ、葉が茂る。→ 軟弱徒長、薬剤(農薬,液肥など)散布ムラ、株元の湿度上昇による病気リスク…。芽かきや葉かき作業は、こまめに行う事が重要です!徹底!

  • 加えて!重要なポイントは、芽かき,葉かきは傷口が乾きやすい晴天時に行う事が重要です!傷口が乾かないと、病気の侵入口になってしまう…。
    芽かき,葉かきを晴天時に作業したとしても、念のため、薬剤散布で予防しましょう。→農薬の使用については、各都道府県(病虫害防除所)の指導をご確認下さい。

適切な芽かきや葉かきは、親株育成期と育苗期では異なりますのでそれぞれ見ていきましょう。

4.1 親株育成期(芽かき、葉かき)

  • 弱い脇芽を適宜取り除いて、株周りをすっきりとさせて下さい。大きくなりすぎてしまった脇芽は無理に取り除くと傷口から病気が侵入する可能性があるため取らないで下さい。
  • 葉は混み合わないように、働き終えた古葉をこまめに葉かきして下さい。

4.2 育苗期(葉かき)

葉かきは、葉数2.5~3.5枚が残るよう実施して下さい。夏場は6日前後の間隔で新葉が1枚展開することを考慮し、葉かき作業の計画を立てて下さい。


写真11 間隔を空けての育苗の管理

5. 正しく薬剤を散布する

薬剤散布は、適切な農薬の選択と利用が重要です。

  • 病気によって、散布するべき農薬は異なります。特に「炭疽病」と「疫病」は症状が酷似しています。炭疽病だと決めつけて炭疽病用の薬剤のみを疫病に散布している事例も多々あります。 必ず両方の病気を意識した薬剤散布を心掛けて下さい。

  • 同じ系統の農薬を連用すると、農薬が効かなくなります!(薬剤抵抗性)
    RACコードの活用をご存じですか?薬剤効果を維持するために、使用する薬剤は農薬ラベルに記載されているRACコードが同一でないものをローテーション散布して下さい。

    炭疽病防除として(栃木県防除暦参照)
    ・悪い例:ジマンダイセン水和剤(RACコードF:M3)→アントラコール顆粒水和剤(RACコードF:M3)
    ・良い例:ジマンダイセン水和剤(RACコードF:M3)→ベルクート水和剤(RACコードF:M7)

  • 薬剤散布は、葉が1枚展開する毎に実施することが基本です。加えて、芽かき、葉かき後や降雨後にも必ず散布して下さい。

  • よく知られていない事ですが、微生物資材による植物体の免疫力向上に取り組んだ結果、異常気象条件下でも病気の発生が少なくなった多くの事例をPsEcoは経験しております。

農薬散布だけに頼らず、微生物資材をうまく混合する事によって病気の被害を減らした農家は少なくありません。
微生物資材 例:PSコレイーネPSバイオギフトLIQ(PsEcoショップにてポイントを説明しています)

6. 正しい灌水方法

灌水方法は親株育成期と育苗期では異なりますのでそれぞれ見ていきましょう。

6.1 親株育成期

親株育成期では点滴灌水チューブによる灌水が理想です。

  • 点滴灌水チューブは手灌水やミスト散水(霧状散水)に比較して、培土の泥はねのリスクを大幅に軽減できます(点滴灌水はポタポタと培土をゆっくりと濡らす)。
  • さらには、ハウス内を多湿にしにくい利点があります(多湿は病気のもと)。


写真12 6.1 親株育成期(点滴灌水)

6.2 育苗期(手灌水)

一般的に子苗への灌水は手灌水となります。

  • 灌水は培土の乾き具合を見ながら判断します。灌水は朝に一回行って下さい。夕方の灌水は、夜間に多湿となり炭疽病や疫病の発生を助長しますので不適切です。
  • 日中に培土が極度に乾燥する場合には、午後の早い時間にも灌水を行って下さい。培土が乾燥すると、根が傷み萎黄病のリスクを高めます。
  • 下記の写真、泥はね対策として定植苗に点滴灌水チューブを導入するのは、新しい効果的灌水方法です!


写真13 6.2 育苗期(点滴灌水)

7. それでも、「萎黄病」「炭疽病」「疫病」が発生してしまったら

早期発見と適切な処分が重要
「萎黄病」「炭疽病」「疫病」に感染した場合は、残念ながら治りません!感染が発症した株だけではなく、疑われる株も発見した場合は速やかに除去し、必ずビニール袋等で密閉してハウスから離れた場所で処分します。
ここが重要!**処分する株は、病気が発症した株または疑われる株だけでなく、周りの株も含めて処分します。**プランターの場合はプランターごと、育苗トレイの場合はトレイごと撤去します。もったいないは命取りに!
「萎黄病」「炭疽病」「疫病」は、絶対に本圃に持ち込まないことが大原則です。

イチゴ

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