はじめに
イチゴ栽培で最も厳しい気象条件の厳寒期を過ぎてもまだまだ気は抜けません。暖候期は温度の上昇や日射量の増加に伴い、低下していたイチゴの樹勢も徐々に回復を始めますが、一方で暖候期ならではの様々な問題が発生します。一つは徒長です。葉柄や果梗枝が極端に伸びることで、果実の小玉化や不受精果、併せて作業性の低下など問題を招きます。また、軟弱徒長気味に繁茂した草姿は病害虫の温床にもなります。更に高温や強日射による果実の軟果や過熟果なども農家の悩みの種です。
本記事では、イチゴ栽培の終盤戦でも高品質で高収量を維持するために重要な栽培管理、肥培管理、病害虫対策のポイントについてご紹介します。
暖候期は樹勢を適正な範囲で抑え、徒長していない締まった株を作ることがことがポイント。そのためには、ハウス内の温度を出来るだけ適正に管理することが重要です。
ウォーターカーテン:栃木県で普及している地下水を活用して保温する方法
適正な夜温を維持するためには、十分な水量の確保とともにウォーターカーテンの開始時間がポイントです。暖房機のような加温効果は期待できませんので、夜温が低い場合は開始時間を早めて下さい。午後4時頃から開始するケースも見られます。
但し、ハウス内が多湿になりやすく、傷み果や灰カビ病を誘発しやすいので、適度に換気して下さい。
温度計の設置場所:
上記の温度はイチゴの生長点付近の温度の指標です。
ポイント:①温度計は30~40cmの高さに設置する必要があります。②また、温度センサーが直射日光を受けると、実際のハウス内温度より数度高く表示される恐れがあります。(この事例は少なくない)
光合成促進対策として炭酸ガス発生機の導入が進んでいますが、イチゴでは特に果実の肥大促進と樹勢維持の効果が認められています。
炭酸ガスの施用
ハウス内の炭酸ガス濃度の目安は外気と同程度の400ppmから500ppm程度で効果を得ることができます。
従来は日の出前後に2時間程度の連続施用を行う「早朝施用」が主流でしたが、この施用方法ではハウス内の炭酸ガス濃度が早朝一時的に1,000ppmを超えても日中は外気以下の濃度まで低下するため、最近は午前9時頃から午後3時頃まで1時間毎に施用する、いわゆる「ちょい炊き」が主流になっています。また、最適な炭酸ガス管理のためにセンサーを導入して炭酸ガス発生機と連動させる方式もあります。
暖候期の炭酸ガスの施用
換気の回数が多くなっても意外とハウス内の炭酸ガスの濃度は低下するものです。炭酸ガスの施用は果実肥大の促進に繋がりますので、ハウスのサイドや天窓を全開にするまでは、最低外気と同程度の400ppmを目安に施用を継続することをおススメします。
写真 炭酸ガス発生機(燃焼タイプ)
日射量の増加に伴い水分の要求量が急増するこの時期、土壌の乾燥によりチップバーン(葉先枯れ)・ガク焼け・種浮き果の発生や果実の肥大低下を招くことが非常に多いです。
灌水は不足してもやり過ぎても生育を阻害します。
写真 点滴灌水チューブ
暖候期は、徒長していない締まった株を作ることと果実や茎葉を強化することが重要となります。
PsEco植物分析では、暖候期のイチゴが必要とするチッソ・リンサン・カリウム・カルシウム・マグネシウムから微量要素に至るまで適正に吸収できているか分析し、また、吸収できていなければその原因を解明して最適な追肥・葉面散布のメニューを提案します。
灌水と同様「少量多施肥」が重要。できるだけ灌水の度に薄めの液肥を追肥して下さい。肥料の吸収効率が良くなるだけでなく、糖度や食味が安定します。
暖候期の肥培管理においては①徒長抑制、②果実や茎葉の強化、③果実肥大促進、④光合成促進(食味改善)、⑤なり疲れ対策が特に重要になります。以下、順番にご説明します。
①徒長抑制のための追肥と葉面散布
各種肥料成分のバランスが栄養成長(茎葉)と生殖成長(花や果実)のバランスに影響します。
徒長を抑制(栄養成長を抑制)するためには、チッソの割合を下げ、逆にリンサン・カリウム・カルシウム・マグネシウム・微量要素の割合を上げることがポイントになりますが、PsEco植物分析では、各ハウス毎に最適な追肥・葉面散布のメニューを提案します。
②果実や茎葉の強化のための追肥と葉面散布
*キレートとは、有機酸の力で作物に吸収されやすく、作物体内でも働きやすくした肥料のことです。
③果実肥大促進のための追肥と葉面散布
④光合成促進(食味改善)
⑤なり疲れ対策のための追肥と葉面散布
早期予防・早期防除で、多発・まん延させない事が重要です。後手にまわってしまい、多発・まん延してからでは防除は困難です。さらに、薬剤抵抗性にも注意したローテーション散布が必要です。また!葉かぎ作業が出来ていないとせっかく農薬散布を行っても葉の表・裏両面に確実にかかりません(散布ムラ)。治療よりも予防が、まん延を防止する対策です。
うどんこ病
<症状や発生要因>
灰色かび病
<症状や発生要因>
<対策>
ハウスの換気が多くなるため害虫がハウス内に侵入しやすくなります。害虫が生息しやすいハウス周辺の除草を徹底しましょう。さらに、薬剤抵抗性にも注意したローテーション散布が必要です。また、葉かぎ作業が出来ていないとせっかく農薬散布を行っても葉の表・裏両面に確実にかかりません(散布ムラ)。
ハダニ
天敵(チリカブリダニ・ミヤコカブリダニ)を導入している圃場では、天敵に影響のない殺ダニ剤を散布します。但し、天敵を導入している圃場でも多発した場合は、天敵に影響のある殺ダニ剤を活用せざるを得ないこともあります。
<症状や発生要因>
<対策>
スリップス
スリップスが好む花をこまめに観察し、早期防除を徹底することがポイント!
<症状や発生要因>
<対策>
コナジラミ
大量発生してからでは防除が困難なため、発生状況をこまめに確認し、早期防除を徹底することがポイント!
<症状や発生要因>
<対策>
イチゴの防除はミツバチや天敵への影響を考慮して行うことが重要です。農薬の使用については、各都道府県(病虫害防除所)の指導をご確認下さい。
"暖候期の栽培管理ポイントと注意点" については以上です。
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