栽培期間の長いトマトの促成栽培の土台を決定づける**"定植から3段開花期までの栽培管理のポイントと注意点"** を、分かりやすくご紹介します。優良農家の方でも、見落としていることがあるかもしれません。収量を伸ばしたい方必見です。
定植後の1日も早い活着 が、初期の根張りやその後の生育に大きく影響を及ぼします。活着を促進する勝負の分かれ目を要チェック!
定植時からの手灌水の際、発根促進+免疫力強化+しおれ防止のための液肥散布が、活着を促進します。定植時に1回目、その数日後に2回目、合計2回の液肥散布で活着を促進しましょう。定植直前のどぶ漬け処理もお勧めです。
なお微生物資材は、使用を開始する時期が重要です。微生物が根の張りを助けるためには、出来るだけ早い生育段階で微生物と根の関係を築く必要があります。
-海藻エキスによる、発根と光合成の促進(例)PSマリンパワー
活着した事を確認したら、3段開花期までに目指すは根張りが良く・樹勢が適正で・栄養成長と生殖成長のバランスが良い株づくりです。
土壌水分が高過ぎたり、着果不良により栄養生長に偏ってしまうと、樹勢が過多となり、乱形果や異常茎(めがね)などの生理障害を招きます。
根張りが充実し、栄養成長と生殖成長のバランスが良い理想的な株を実現するためのポイントをご紹介!
写真4 異常茎(めがね)
栄養成長に傾きやすいので、昼温を多少高めに設定して昼夜の温度較差を大きくすることで、栄養成長を抑制。
例)昼温:25度→26~28度、夜温:18度→18度
ハウス促成栽培では、長期にわたり樹勢、栄養成長と生殖成長のバランスを保つとともに、安定した着果数を維持することが多収の必要条件です。そのためには摘果が重要。
着果量が多ければ、樹勢低下→小玉果・空洞果
着果量が少なければ、樹勢過多・栄養成長過多→乱形果
大玉トマトの1果房当りの着果数の目安は3~5個ですが、樹勢や品種により調整することが重要です。
但し、摘果以前に重要な点は確実に着果させること、高温により着果が困難な時期はホルモン処理がお勧めです
この時期は根張りを促進し、樹勢、栄養成長と生殖成長のバランスを適正に維持するために、萎れない程度に潅水を極力控えることがポイント重要。具体的に灌水ポイントを要チェック。
活着後から灌水チューブを使った追肥と葉面散布を開始します。但し、この時期の追肥は根張り促進のための追肥であり、チッソ・リンサン・カリなど肥料成分については、3段開花以降追肥を開始します。3段開花期をむかえたら、植物分析を行い肥料成分の追肥のタイミングを調整しましょう。活着後から3段開花までの肥培管理に必要なのは、①発根促進、②栄養成長抑制、③カルシウム・微量要素の欠乏対策のための資材です。
①発根促進のための追肥と葉面散布
団粒構造と保肥力改善に働く事で知られている腐植酸は、実は土壌微生物の活性化にも非常に効果的です!有機物の分解や団粒構造の形成、肥料の分解や作物の養水分吸収の促進、土壌病害の抑制と根の保護、土づくりと作物の生育には微生物が大きく関係しています。肥培管理と併せて、微生物資材および微生物を活性化させる資材の活用が必須です
②栄養成長抑制のための追肥と葉面散布
吸収効率の高い亜リン酸とリン酸の代謝を促進してくれる酵素の相乗効果で生殖成長型の草姿!
③カルシウム・微量要素の欠乏症状対策のための葉面散布
根張りの促進と栄養成長抑制のため3段開花までは土壌を乾燥気味に管理するため、カルシウムやホウソが吸収しづらくなり、尻腐れ・芯腐れ・葉先枯れ・ガク焼けなどの欠乏症状が発生しやすい!
写真6 尻腐れ
とにかく!早期予防・早期防除で、多発・まん延させない事が重要です。後手にまわってしまい、多発・まん延してからでは防除は困難です。さらに!薬剤抵抗性にも注意したローテーション散布が必要です。
葉かび病
<症状や発生要因>
<対策>
写真7 葉かび病
灰色かび病
<症状や発生要因>
<対策>
写真8 灰色かび病
うどんこ病
<症状や発生要因>
<対策>
写真9 うどんこ病
タバココナジラミが媒介するトマト黄化葉巻ウイルスが各地で問題になっています。ウイルス病は感染してしまうと治療方法がありません。いかにタバココナジラミを叩くかが鍵です。定植後の生育初期に感染することが多いので、定植時からの防除が重要です。さらに!薬剤抵抗性にも注意したローテーション散布が必要です。
コナジラミ
<症状や発生要因>
<対策>
アザミウマ
<症状や発生要因>
<対策>
ハスモンヨトウ
<症状や発生要因>
<対策>
1.齢期が進むと農薬の効果が低下するため、 若齢期にうちに防除することが重要
2. RACコードを活用したローテーション散布による防除
例)アタブロン乳剤(RACコードⅠ:15)→フェニックス顆粒水和剤(RACコードⅠ:28)→ディアナSC(RACコードⅠ:5)
3. ハウスでは、天窓やサイドなどの換気部に防虫ネットを張って、外からの侵入を防止する
4. 黄色灯(防蛾灯)も効果あり
5. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)
オオタバコガ
<症状や発生要因>
<対策>
1.果実に侵入する前の 若齢期にうちに防除することが重要
2. RACコードを活用したローテーション散布による防除
例)アタブロン乳剤(RACコードⅠ:15)→フェニックス顆粒水和剤(RACコードⅠ:28)→スピノエース顆粒水和剤(RACコードⅠ:5)→アニキ乳剤(RACコードⅠ:6)
3. ハウスでは、天窓やサイドなどの換気部に防虫ネットを張って、外からの侵入を防止する
4. 黄色灯(防蛾灯)も効果あり
5. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)
トマト及びミニトマトの防除はマルハナバチや天敵への影響を考慮して行うことが重要です。農薬の使用については、各都道府県(病虫害防除所)の指導をご確認下さい。
上記の使用例では、トマトとミニトマトの両方に登録された農薬を記載しています。
"定植から3段開花までの栽培管理ポイントと注意点" については以上です。
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