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アスパラガス_「採りっきり栽培」専用肥培管理

アスパラガス

アスパラガス採りっきり栽培は、

  • 低初期投資!(ハウス等の設備が不要)
  • 露地栽培の輪作に組みこめる!(栽培期間が1.5年と短い)
  • 市場相場が高い春先に収穫!

近年、アスパラガス採りっきり栽培に取り組む農家が増えています!採りっきりの文字通り1度しかない収穫機会を成功させるためのカギ「肥培管理」についてご紹介します。(採りっきり栽培®は、パイオニアエコサイエンス株式会社の登録商標です。)

1. 採りっきり栽培の収穫までの流れ

下表:暖地(関東以南地域)の場合の、播種から収穫までの流れです。
〇印:12~1月頃の播種・1~3月頃の育苗→△印:3~4月中旬の定植→☆印:12~1月頃の黄化~刈取までの株・地下茎養成で、市場相場が高い春先の収穫量が決まります!それぞれの時期によって注意するべきポイントがありますので、それぞれ順にご説明します。


図1 アスパラガス採りっきり栽培の栽培暦


図2 アスパラガス生長のイメージ

2. 播種期(12~1月頃)育苗期(1~3月頃)

播種~育苗における作業の流れと注意点については、別ページの「アスパラガス_育苗」の記事をご確認ください。

アスパラガス_育苗

  • 播種期の12月中旬~翌年1月中旬は、低温・日照不足条件下であり、温度管理が非常に重要です。(温度の目安、電熱線・温床マット・ビニールトンネル等の活用についてご説明。)
  • 活着と初期の発根がバツグンに良い苗に仕上げる!液肥での生育調整(葉色改善・徒長防止・発根と光合成の促進等についてご説明。)

3. 定植準備(1~2月)

3.1 必ず土壌分析による基肥、土づくりが必要なワケ!アスパラガス=肥料食いだと思いがち→過剰な堆肥+多肥

  • 過剰な堆肥と多肥が、実は!収穫量を減らします。 ふかふかの団粒構造を形成するため、元気な茎葉を養成するためにやったはずなのに、過剰な堆肥と多肥のせいで、ガチガチで排水性が悪い土壌や軟弱で病害虫に弱い茎葉になってしまいます。

  • 過剰な堆肥と多肥のせいでガチガチで排水性が悪くなった土壌では、有効微生物は働けず、活動するのは土壌病害(茎枯病・疫病・立枯病) です。

  • 輪作の場合は、前作の作物のために与えた肥料成分が残っています。アスパラガスだからチッソ〇kg-リン酸△kg-カリ□kg/10aと決めつけるのは危険です。

  • さらに!肥料成分は相互に関連し、補完性や拮抗作用があります。3大要素(チッソ・リン酸・カリ)はもちろん、カルシウム・マグネシウムおよび微量要素、全ての肥料は相互に関わり合っています。PsEco土壌分析は、微量要素まで確実に分析します!

PsEco土壌分析

3.2 圃場作り、点滴チューブの設置

  • 基肥や土壌改良剤を投入後に、マルチャー等で畝立てとマルチ張りをします。
  • 畝は、ベッド幅60-90cm、畝間140cm、株間40cmが目安です。
  • 降雨後、適度な土壌水分(軽く握って土団子ができるくらい)がある時が理想的です。
  • 土壌が乾燥していると畝が崩れやすく、また苗定植後に必要な土壌水分が保持されにくいです。
  • 機械でマルチ張り作業をしない場合は、畝立て後に張ります。(地温確保:目標15℃)
  • 夏場の高温乾燥対策のために、点滴灌水チューブを設置しておくと理想的です!


図3 ベッド幅、畝幅、株間の目安

3.3 水源確保と潅水設備の設置が可能なら!

出来れば、土壌水分を急激に変化させないことが理想的です。過乾燥にさせてしまい、慌てて一度に多量の潅水は行うような事がないように。土壌水分を測ることができる「pFメーター」を設置し、pF1.5~2.0の間を目安とします。少量の水でもムラなく潅水できる、点滴灌水チューブがおすすめ。


写真1 土壌水分計(pFメーター)

  • 黒色マルチは、雑草抑制効果を期待できます。
  • 畝間に防草シートを張る方法もあります。除草作業の軽減に加え、土壌水分が保持される効果も期待できます。(土壌水分の蒸発抑制)
  • 圃場作りは、定植1週間前までに完了させて下さい。


写真2 マルチ張りの様子(晴天時)

4. 定植期(3~4月中旬)

採りっきりの収穫量は、株養成で決まります。株養成を左右するのが、活着と初期の発根です!ですが、まだ寒さが残る3月は地温確保が難しく、苗そのものにも冷気があたってしまいます。

対策その1! 採りっきり栽培用に特別開発された専用定植器

先端部分が土壌を大きくくり抜き、アスパラガス苗を土深くに定植できます。
土壌表面よりも土中の深い場所のほうが、地温が高く、冷たい風にも当たりにくい!

対策その2! 寒さと日照不足に対する苗の抵抗力を高める

植穴に活着と発根を手助けする微生物資材を撒く
 例:微生物とその棲家

液肥+微生物資材!定植前のどぶ漬けと定植後の株元潅水
・海藻エキス 例:PSマリンパワー
・酵素資材 例:アーキア酵素むげん
・微生物資材 例:PSコレイーネPSバイオギフトLIQ


写真3 採りっきり栽培専用定植器


写真4 専用定植器による深植え定植の様子(定植と同時に土壌改良資材を撒いている)


図4 専用定植器の解説


写真5 定植苗のどぶ浸け(液肥資材の活用)

5. 土寄せと倒伏対策ネットの設置(5月)

5.1 土寄せ

株のマルチ焼けおよび倒伏を防ぐために、植え穴をふさぐように行います。(茎径約3ミリを越える頃)

5.2 倒伏防止ネットの設置

5月頃には、萌芽が盛んになり草丈も50cmを越えてきます。早めの作業が必要です。「支柱間2m、支柱幅60cm、高さ50cm・100cm・150cmの3段」が目安です。
尚、生分解性ネットを用いると、通常のネットの様にネットの回収と秋期の刈り取り作業を別々に行う必要がなく、同時に取り除くことができ刈り取った株と共に圃場外に持ち出して自然分解ができるので省力化が期待できます。

5.3 但し!土寄せとネットの設置だけでは倒伏対策は不十分!

チッソ過多に生育している状態では、土寄せでどんなに株元を固めても、茎葉は軟弱に育ち倒伏します。ネットは倒れかかっている茎葉を支えるだけに過ぎません。そして軟弱徒長な生育では、病害虫被害を受けやすくなります。

葉色の緑を濃くしよう、茎葉を茂らせようと思うと、チッソ過多の管理になりがちです。リン酸・カリはもちろん、カルシウム・マグネシウムおよび微量要素をバランス良く与え、強固で働く茎葉でないと地下茎(根)も充実しません! 地下茎は春先にアスパラガスを萌芽させるエネルギーを貯めておくバッテリーのような大事な部分です。

葉面散布

  1. リン酸・カリ・カルシウムによる茎葉の強化 例:PSダッシュMEネオPSカル
  2. マグネシウム・微量要素による葉色の改善 例:PSマグ微量要素の宝船スペシャルME-C


写真6 土寄せの様子と防草シート


図5 倒伏防止ネットの設置イメージ

5.4 害虫対策にもご注意を!

倒伏対策が必要になる位に草丈が伸びてくる頃には、害虫も活動を始めています。
ジュウシホシクビナガハムシ(幼虫)、アブラムシ、アザミウマ、ダニ(ハダニ)等、各都道府県の病害虫防除所の指導(予防・防除)をご確認ください。尚、上記の軟弱徒長対策も、害虫防除も症状が現れてから対処するのではなく、治療よりも予防の徹底が効果的です!


写真7 ジュウシホシクビナガハムシ(幼虫)


写真8 アブラムシによる食害(赤枠内)

6. 株養成期(6月~):2回目の土壌分析を!

6.1 株養成とは、文字通り株を生長(養成)させ、地下茎を作る事です。

翌春の収量を決定する重要な時期です。6月頃に第一回目の追肥を行いますが、基肥施肥時と同様に土壌分析をもとに、追肥の種類と量、タイミングを決定する必要があります。尚、施肥方法は株元を避けて、植穴処理や畝脇に施肥します。

6.2 葉面散布がポイント!

梅雨時期は曇雨天が続き、光合成が十分に行えない状況が続きます。日照不足条件下で軟弱徒長に育った状態では、梅雨明け後の猛暑条件に耐えられません。高温乾燥対策のためにも、株養成期を通じて発根を促進し、アミノ酸と糖分の補給も行いましょう。春先のアスパラガスがおいしくなるコツでもあります。

  1. 海藻エキス 例:PSマリンパワー
  2. 酵素資材 例:アーキア酵素むげん
  3. アミノ酸+微量要素 例:PSパワーアミノ2号
  4. 糖分+リン酸・カリ+微量要素 例:アルバトロス

6.3 病気対策にもご注意を!

アブラムシ、アザミウマ、ダニ(ハダニ)等の害虫とあわせて、斑点病、茎枯病等の病気についても各都道府県の病害虫防除所の指導(予防・防除)をご確認ください。症状が現れてから対処するのではなく、治療よりも予防の徹底が効果的です!
微生物の力で植物体を守り、免疫力を強化しておく事(葉面散布)もポイントです! 例:PSコレイーネPSバイオギフトLIQ


写真9 斑点病(こげ茶部分)


写真10 茎枯病

7. 株養成期(8月~)

  • 梅雨明け後~8月は特に、気温が高く土壌が乾燥しやすいです。土壌の乾燥が続くと根は養水分を吸収できず、しおれや様々な生理障害が起こりやすくなります。株が弱ると病害虫への抵抗(免疫)力が弱まり、病気に侵されやすくなります。

  • 順調な生育を迎えると、1mを越える草丈まで株が成長してきます。茎葉が繁茂し株元の風通しが悪くなると(過湿条件になると)、斑点病・茎枯病・褐斑病が発生しやすくなるので、一般的には2週間ごと(但し降雨後)に、定期的な薬剤散布を励行しましょう。
    ヨトウムシ、カスミカメムシ、アワノメイガ等の害虫被害も発生しやすい時期なので、予防と防除の徹底が必要なのですが、茎葉が繁茂しているとムラなく散布しづらいので注意して散布作業を行って下さい!

  • 追肥で使用する肥料の種類と量、タイミングは極めて重要です。チッソ肥料の肥効が10月以降も続き、秋口になってまでチッソ過多に生育していると(樹勢が強すぎると)、養分転流が起こりにくくなります。


写真11 褐斑病(こげ茶部分の中に黒色の粒が発生)


写真12 カスミカメムシ被害(赤枠内)


写真13 ヨトウムシ

8. 黄化~刈取:葉面散布による養分転流の促進!

8.1 養分転流とは、大きく成長した葉や茎の養分を、地下茎(根)に転流・貯蔵する、株養成の集大成です。

外気の平均気温が約15℃、最低気温で約10℃になる頃から、地上部の茎葉色が黄化しはじめます。養分転流始まりのサインです。地下茎に送り込まれた養分量で、翌春の萌芽収量や品質は決定します。養分転流でどれだけ地下茎に養分を貯蔵できるかが勝負の分かれ目です!

8.2 実は!養分転流を非常に効率よく促進する成分と組合せがあるのです。

葉面散布

  1. 亜リン酸カリ+微量要素 例:PSダッシュMEネオ
  2. 酵素 例:アーキア酵素むげん

8.3 養分転流の終了

完全に黄化した株元の茎を手で触った際にパカッと割れるようになったら、刈取時期です。倒伏防止ネットを取り除いた後、全ての茎葉を刈り取り、取り除きます。養分転流が終了すると春先の萌芽に向けて、株は休眠を開始しています。十分な休眠時間が取れないと、春先の萌芽が遅れ、市場単価が高い時期の出荷を逃します。休眠時間とは寒さに当たった時間の事です。少しでも低温にさらせるよう、マルチを全てはがします。


写真14 茎葉の黄化(養分転流)


写真15 茎葉部の刈取りの様子(同時にネットとマルチも剥がします)

9. いよいよ収穫期(3~6月)

3月頃になると萌芽が始まります。栽培地域によりますが、3月中旬頃から最大90日間ほどが収穫期間です。収穫期後半になり、アスパラガスに「奇形」や「曲がり」症状、「細いアスパラガス」が増えてきたら収穫期終了のサインです。

灌水設備がある場合
萌芽開始前に、発根促進資材や土壌改良剤を灌水すると、太もの率のアップ・奇形や曲がり症状の軽減に効果的です。

  1. 海藻エキス 例:PSマリンパワー
  2. 酵素資材 例:アーキア酵素むげん
  3. 土壌改良剤 例:PSアクティベーター


写真16 アスパラガスの奇形症状


写真17 アスパラガスの曲がり症状

収穫終了後は、次作の準備のため、地下茎(根)をロータリー等で完全に土壌にすき込んで終了です。本記事を参考に、春季一度の採りっきりの収穫成功にむけて挑戦してください。

アスパラガス

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