点滴灌水チューブの目詰まり対策_有機質液肥の粘性による目詰まり

点滴灌水チューブ（以下、点滴チューブ）の寿命を縮める「目詰り」と「傷」、諦めて買い替えていませんか？注意すべきポイントと寿命を伸ばすための対策を、分かりやすくご紹介します。

目詰りの3つの原因

• 有機質液肥の粘性による目詰まり ：（本記事）

• 物理的な目詰り：別ページ

• 化学的な目詰り（液肥の結晶化予防など）：別ページ

傷

• 誤った収納方法による破けや穴あき（別ページの点滴灌水チューブの選び方と特製巻き取り器をご確認下さい）

• 圃場での虫食いやハサミ作業（点滴チューブ用接続コネクターによる処置：PsEcoのECサイトにて商品をご確認頂けます）

目詰りは、かん水ムラを生じさせるため、生育のバラツキや生育不良を招きます。有機質液肥の粘性の影響を軽減させるための対策を押さえておきましょう！

1. 有機質液肥の粘性による目詰まりとは？

有機質液肥の粘性（べたつき）が、吐水口（水がポタポタと出てくる箇所）を詰まらせてしまう現象のことです。液肥中の有機率（原材料中の有機物の割合）が高いほど、べたつきの程度が強い傾向にあります。

写真1 有機液肥の粘性（べたつき)

2. できる限り薄めて流す

希釈する水の量が多いほど、有機質液肥の濃度が薄まり、粘性の度合いが下がります。希釈する際には、灌水時間および液肥混入器の注入量に応じて希釈する水の量を調整して下さい。

また、肥料の原液を作り置きしておく期間が長くなるほど、藻やノロが繁殖する恐れが高まります。→作り置きの期間はできる限り短くしましょう。（その場での流し切りが理想的です。）

図1 希釈の模式図（下の方が希釈する水の量が多い)

話は変わりますが

• 養液栽培では肥料の作り置きは当たり前

但し！養液栽培の場合は、有機物を含まない１００％無機肥料の養液栽培用配合肥料や高純度完全水溶性単肥を使用するため、作成した肥料の原液（濃縮液）を数日から長い場合は1ヶ月以上にわたり、灌水時に希釈して給液（追肥）するのが一般的です。

養液栽培用配合肥料　例：PSアイミックス4号

• 養液栽培でもアミノ酸が重要！

最近では、特にイチゴや高糖度トマト農家を中心に、食味改善や生育促進の目的のために、アミノ酸や糖分入り資材を、上述の原液とは別個に灌水時に追肥したり、葉面散布する事例が増えています。

灌水時の追肥　例：PSパワーアミノ2号（有機ミネラル液肥）

葉面散布　例：PSアミノシュガー（アミノ酸と糖分）注意！PSアミノシュガーは点滴チューブでは目詰りの恐れがあります。

話を戻します。

3. 念には念を！灌水後の後洗浄

点滴チューブ内部に有機質液肥の成分が残ると、粘性による目詰まりが発生しやすくなります。液肥を流した後に真水を流して、点滴チューブ内部に残った有機質液肥を洗い流しましょう！

点滴チューブの末端に水の出口を作ると、有機質液肥の洗い流しと同時に、砂やノロ等の不純物の吐き出しが可能となり、物理的な目詰まりの防止にもつながります。

別ページ「点滴灌水チューブの目詰まり対策_物理的な目詰まり」についてもご確認下さい。

手動でコックの開閉ができるタイプ（例：THC-TAP-13）や、灌水開始と灌水終了後に自動で排水するタイプ（例：TDV）があります。作業の都合に応じて選択できます。→PsEcoショップで購入できます。

写真2 手動でコックの開閉ができるタイプ　THC-TAP-13

写真3 自動で排水するタイプ　TDV

4. 粘性の小さい有機質液肥もある！

農家の皆様が有機質液肥に求める役割は「アミノ酸の供給」だと思います。

アミノ酸は窒素成分の補給だけでなく、食味（うまみや甘み）の向上やストレスの軽減など、作物の生育および品質の向上に不可欠な栄養分です。さらに！微生物のエサにもなるため、灌水によって土壌/培地中の有効微生物を活性化します。

しかし、「有機率が高い＝アミノ酸が豊富」とは限りません。有機質液肥を選ぶ際に重要なことは、有機率の高さではなく、液肥中に含まれている「アミノ酸の種類とバランス」です。

アミノ酸が豊富に含まれていながら、サラサラとしていて点滴チューブで灌水しても影響が少ない有機質液肥をPsEcoショップで購入できます。

有機ミネラル液肥　例：PSパワーアミノ２号（魚エキス由来の18種類のアミノ酸）

5. 併せて確認するべきこと

有機質液肥に含まれている浮遊物（有機物）が目詰まりを引き起こす可能性もあります。浮遊物を取り除くためにもフィルターの設置を併せてご確認下さい。おすすめは「ディスクフィルター」です。

別ページ「点滴灌水チューブの目詰まり対策_物理的な目詰まり」についてもご確認下さい。PsEcoショップでは、2インチ（口径50ミリ）・1.5インチ（口径40ミリ）・1インチ（口径25ミリ）を紹介しており、点滴チューブによる灌水量と水質中のゴミの多さから、どのサイズが適しているのか選び方まで説明しています。

写真4 ディスクフィルター　2インチ（口径50ミリ)