点滴灌水チューブ(以下、点滴チューブ)の寿命を縮める「目詰り」と「傷」、諦めて買い替えていませんか?注意すべきポイントと寿命を伸ばすための対策を、分かりやすくご紹介します。
目詰りの3つの原因
化学的な目詰り(液肥の結晶化予防など)(本記事)
物理的な目詰り:別ページ
有機質液肥の粘性による目詰まり :別ページ
傷
誤った収納方法による破けや穴あき(別ページの「点滴灌水チューブの選び方と特製巻き取り器」をご確認下さい)
圃場での虫食いやハサミ作業(点滴チューブ用接続コネクターによる処置:PsEcoのECサイトにて商品をご確認頂けます)
目詰りは、かん水ムラを生じさせるため、生育のバラツキや生育不良を招きます。液肥の結晶化や原水に含まれる鉄などの成分による「化学的な目詰まり」の対策を押さえておきましょう!
白い結晶物や赤茶色のぬめりが、点滴チューブの吐水口(水がポタポタと出てくる箇所)を詰まらせた経験はありませんか?正体は!白い結晶物=肥料成分、赤茶色のぬめり=原水中の鉄やマンガンです。
化学的に混ぜてはいけない肥料どうしを同時に点滴チューブへ流した場合、結晶物を生じます。一度結晶化したら、結晶物を溶かす、または取り除く事は不可能です。つまり!点滴チューブを目詰りさせないための「予防策」が非常に重要です。2. 肥料の混用に気を付けるで詳しくご説明します。
写真1 吐水口で肥料成分が結晶化している様子
点滴チューブの吐水口に赤茶色のぬめりを生じる原水を使用されている場合は、配管のつなぎ目や薬剤散布用タンクなどに同様の赤茶色の症状を生じているはずです。原水中に高濃度で含まれる鉄やマンガンが空気に触れて酸化し生じる現象です。3. 水源に要注意(鉄やマンガン)で詳しくご説明します。
写真2 酸化した鉄が吐水口で赤茶色に見える様子
写真3 タンク内側に付着した酸化した鉄が赤茶色に見える様子
肥料成分には、反応(結晶化)してしまう組み合わせがあります。肥料成分の反応、それはマイナスイオンとプラスイオンの結合です。
結晶化してしまう組み合わせ
例)リン酸肥料の中のリン酸イオン(マイナスイオン)と反応するのは、硝酸カルシウムの中のカルシウムイオン(プラスイオン)や微量要素肥料の中の鉄イオン(プラスイオン)です。
写真4 水にリン酸肥料を添加した状態
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写真5 硝酸カルシウムを追加後に結晶化した様子
図1 目詰りの原因となる結晶化(白濁)の模式図
肥料成分は、カルシウムや鉄を表しています。
肥料成分の結合で生じた白濁、結晶物は難溶性と呼ばれ水に溶けにくいため、点滴チューブや灌水/散布ノズルの目詰りを招きます。さらに悪い事に、水に溶けていないと作物は吸収する事ができません。
肥料がムダになる上、水に溶けにくい結晶物が土壌中に蓄積してしまい、排水不良や微生物の働きが低下するという事態に陥ります。
ですが、作物はリン酸,カルシウム,鉄を同時に必要としているので、同時に点滴チューブで流したい…。この問題を解決するのが「キレート」です!
「キレート化」とは、マイナスイオンと結合しないようプラスイオンを有機酸により包み込むことです。(マイナスイオンのリン酸に、キレート化はありません。)
図2 キレート化の模式図
肥料成分は、カルシウムや鉄を表しています。
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図3 キレート化のおかげで結合、白濁を生じないことの模式図
肥料成分は、カルシウムや鉄を表しています。
キレート化された肥料をPsEcoショップにてご紹介しております。
例:キレートカルシウム「PSカル」、キレート鉄(マンガン、銅、亜鉛)「スペシャルME-C」
キレート効果により肥料どうしの結合、結晶化を予防する資材があります。例:PSリンク
但し!一度結晶化したものを溶かすのではなく、結晶を生じにくくする予防策ですので、定期的に使用する必要があります。(目詰りした点滴チューブが回復する事はありません。)
点滴チューブへ定期的に流す事が必要です!
キレート効果を働く資材は、点滴チューブの吐水口より土壌へ灌水されると、なんと!土壌中で結合・蓄積していた肥料どうしを切り離し、作物が吸収できる状態にします。定期的に流すことで、土壌環境が改善され微生物の働きも良くなります。
上記の対策を行っても、どうしても目詰りが生じてしまう場合 →短期間での点滴チューブの買い替え対応が必要です。
上記の対策1,2を行っても、どうしても目詰りが生じてしまう場合→短期間での点滴チューブの買い替え対応が必要です。
PsEcoショップでは、安価で短期間の交換に向く点滴チューブもご紹介しています。
例:T-TAPEスペシャル506-10, T-TAPEスペシャル506-20
点滴チューブの吐水口や配管のつなぎ目、薬剤散布用タンクなどに赤茶色のぬめりを生じている場合は、PsEco水質分析をお勧めします。水質中に鉄やマンガンが高濃度で含まれているおそれがあります。
鉄やマンガンは空気に触れるまで酸化しないため、ディスクフィルターを通してもろ過することは出来ず、点滴チューブの吐水口で空気に触れて酸化、赤茶色の症状を生じて目詰りを引き起こします。
PsEco水質分析において鉄やマンガンを含んでいることが判明した原水は、点滴チューブの使用には適しません。別の水源(雨水の貯水など)を検討して下さい。
さらに!2. 肥料の混用に気を付けるでご説明しました通り、鉄はリン酸と結合するため高濃度の鉄を含む原水はリン酸の肥料効果を抑制してしまいます。
尚、PsEco水質分析では、目詰りの原因究明だけではなく、原水中の養分を肥料成分として有効活用する方法や、農薬の効果を最大化する資材の活用方法をご提案いたします。
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PsEcoは、その夢を実現するため、常に農家の皆様一人ひとりと繋がっています。
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