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イチゴ_栽培管理ポイント_定植時から開花期まで

イチゴ

作終了までの生育の土台となる、"定植時の活着から開花期までの栽培管理ポイントと注意点" を、分かりやすくご紹介します。優良農家の方でも、見落としていることがあるかもしれません。収量を伸ばしたい方必見です。

1. 第一関門は活着

定植直後の1日も早い活着 が、1番果(頂果房)の花数増加=収量増加につながります。活着を促進する勝負の分かれ目を要チェック!

1.1 活着までの手灌水

  • 根締め灌水!根鉢(育苗培土)と土に隙間が生じないないよう、株元へたっぷりと手灌水して下さい。灌水チューブだけに頼らず、手灌水を行う事が重要です。手灌水の際、発根を促進する資材の活用がポイントです!(詳細は1.3)
  • 葉面を乾燥させない!完全に活着するまでは、1日数回の手灌水を実施して下さい。葉面を乾燥させないことで活着が促され、かつクラウン部からの一次根の発生も促進されます。

萎黄病が懸念される圃場では特に注意!:畝が乾燥状態になると、活着が遅れるだけではなく、萎黄病を助長してしまいます。9月下旬頃までは、畝全体を湿らせるような灌水を意識して下さい。効率的に畝や葉を濡らすためには、頭上灌水も効果的です。

写真1 頭上灌水の事例

1.2 活着までの遮光

  • 暑熱対策!定植直後に株がしおれるような高温環境下では、活着しにくいです。定植後の天候(高温・強日射)に応じて、活着するまで遮光資材を用いる事をお奨めします。遮光率は30~40%程度が目安です。遮光率が高いと太陽光を遮り過ぎて、かえって株が軟弱に育ち根張りが弱くなります。手灌水の際、しおれを防止する資材の活用がポイントです!(詳細は1.3)


写真2 定植時の遮光


写真3 遮光と頭上灌水(暑熱対策)

1.3 液肥散布で活着促進

定植直後からの手灌水の際、発根促進+免疫力強化+しおれ防止のための液肥散布が、活着を促進します。定植時に1回目、その1週間後に2回目、合計2回の液肥散布で生育の土台となる根をしっかり張らせましょう。なお微生物資材は、使用を開始する時期が重要です。微生物が根の張りを助けるためには、出来るだけ早い生育段階で微生物と根の関係を築く必要があります。

2. 第二関門となる活着後から開花期までの栽培管理ポイント

活着した事を確認したら、開花期までに目指すは徒長していない締まった株づくりです。理想の株は、①健全な葉色、②厚みのある葉、③全ての葉に太陽光線が当たるような葉のサイズと葉柄の長さです。収量を伸ばすために、厳寒期でも樹勢が低下しない株のための準備です。大き過ぎる葉、徒長した過繁茂な草姿は、受光体制と通気性が悪くなり病害虫の温床となってしまいます。その結果、冬場の低温や日照不足、着果負担の影響を受けやすい(不安定な樹勢になりやすい)株に育ってしまいます。根張りが充実した理想的な草姿の株を実現するためのポイントをご紹介します。


写真4 生育初期の徒長していない締まった株


写真5 生育初期の良好な根張り

2.1 灌水管理

灌水は、不足してもやり過ぎても生育を阻害します。適切な灌水ポイントを要チェック。

  • まずは少量多灌水が基本です。土を固めず団粒構造を崩さないで、全ての株元へ均一に灌水できる点滴灌水チューブが理想的です。
  • 土壌が乾燥気味の場合は、チップバーン(葉先枯れ)が発生しやすくなります。また花質の低下を招き、その結果ガク焼けや果実の肥大低下につながってしまいます。
  • 一方土壌が過湿気味の場合は根と微生物が呼吸できずに、上根になってしまい根を深くまで張らせる事が出来ません。毛細根の量も著しく低下します。
  • 天候や土壌水分、生育状況に応じた灌水量とタイミングで適切に調整するためには、テンションメーター(土壌水分計)の活用が効果的です。土壌水分を見える化(数値化:pF値)します。適正なpF値の目安は1.6~1.8です。数値が大きいほど乾燥を示し、数値が小さいほど過湿となります。例:pF1.8以上の場合は灌水量を増やし、pF1.6以下の場合は灌水量を減らします。


写真6 チップバーン(葉先枯れ)


写真7 テンションメーター(土壌水分計)

2.2 肥培管理

徒長していない締まった株づくりを目指し、活着後から灌水チューブを使った追肥と葉面散布を本格的に開始します。但し、チッソの追肥には要注意です。この時期は基肥が効いていますので、基本的には2番果(第1次腋果房)の花芽分化以降からチッソの追肥を開始します。早めのチッソ追肥は2番果の花芽分化をオ遅らせてしまい、さらに過繁茂→病害虫のリスクを高めます。2番果の花芽分化の時期をむかえたら、植物分析を行いチッソ追肥のタイミングを調整しましょう。活着後から開花期までの肥培管理に必要なのは、①発根促進②茎葉強化(徒長防止)③葉色改善(繰り返しになりますが、チッソの追肥は行いません)のための資材です。

①発根促進のための追肥と葉面散布

団粒構造と保肥力改善に働く事で知られている腐植酸は、実は土壌微生物の活性化にも非常に効果的です!有機物の分解や団粒構造の形成、肥料の分解や作物の養水分吸収の促進、土壌病害の抑制と根の保護、土づくりと作物の生育には微生物が大きく関係しています。肥培管理と併せて、微生物資材および微生物を活性化させる資材の活用が必須です。

②茎葉強化(徒長防止)のための追肥と葉面散布

丈夫で免疫力が高い健全な株づくりが、病害虫を寄せ付けないための第一歩です。
なおキレートとは、有機酸の力で作物に吸収されやすく、作物体内でも働きやすくした肥料のことです。

③葉色改善

働く葉色づくりには、光合成を行う葉緑体の構成成分であるマグネシウムと、葉のマダラ症状の予防と改善に働く多種でバランスが取れた微量要素がポイント!

2.3 マルチ張りのタイミングは非常に重要

マルチに穴を空けてイチゴの株に被せて張る場合は、株と花芽を傷つけないよう、株が小さいうちに作業しがちです。早期にマルチ張りを行うと、株を物理的に傷つける事は回避できても、地温を上昇させてしまう事で根張りの低下を招きます。また、地温の上昇は肥料の分解/吸収を促進し、生育が旺盛になってしまう事もあります。そうなると、2番果(第1次腋果房)の花芽分化を遅らせてしまいます。さらに、地温が上昇すると根傷み→萎黄病・炭疽病・疫病の罹病リスクが高まります。根張りが充実した徒長していない締まった株へ育てるために、遅い時期でも株と花芽を傷つけずに作業できる合わせマルチをPsEcoはお奨めします。

  • PsEcoではマルチ同士をホチキスでとめて株をはさむようにして地表面を覆う合わせマルチを推奨します。合わせマルチの利点は、株が大きく成長し出蕾した状態でも株と花芽を傷つけずにマルチ張りをできる事です。つまり!早期にマルチ張りをする必要がありません。
  • それでも地温が上昇してしまうような天候の場合は、畝の肩口までマルチをたくし上げておきましょう。


写真8 葉・花芽・根を傷めにくい合わせマルチ1(肩口までたくし上げた様子)


写真9 葉・花芽・根を傷めにくい合わせマルチ2(ホチキスとめ)

3. 開花期までの病害虫対策のポイント

とにかく!早期予防・早期防除で、多発・まん延させない事が重要です。後手にまわってしまい、多発・まん延してからでは防除は困難です。さらに!薬剤抵抗性にも注意したローテーション散布が必要です。また!葉かぎ作業が出来ていないとせっかく農薬散布を行っても葉の表・裏両面に確実にかかりません(散布ムラ)。治療よりも予防が、まん延を防止する対策です。

3.1 土壌伝染性の病気 炭疽病・萎黄病

土壌伝染性の炭疽病や萎黄病は、「無病苗の定植」と「土壌消毒による本圃での発生を防ぐこと」が理想的ですが、実際には全国の産地で問題になっています。

本記事では、定植後の対応策についてご紹介します。

炭疽病
<症状や発生要因>

  • クラウンは侵入部から中心に向かって赤褐色に変色
  • 葉に黒色小斑点が見られる場合もある
  • 高温や多湿条件で発生しやすい
  • 降雨や灌水時の泥はねによって菌が飛散し伝染する
  • 葉かきや芽かきの傷口から感染することが多い
  • 菌の生育適温25~30℃

<対策>

  1. 活着後から殺菌剤の予防散布
    炭疽病の発生が見られる産地では、活着後から気温が低下し病原菌の活動が沈静化する時期まで殺菌剤を散布しています。その際、「ローテーション散布(以下のRACコードの活用)」と「うどんこ病にも有効な殺菌剤を散布する事」がポイント!
    同じ系統の農薬を連用すると、農薬が効かなくなります!(薬剤抵抗性)
    RACコードの活用をご存じですか?薬剤効果を維持するために、使用する薬剤は農薬ラベルに記載されているRACコードが同一でないものをローテーション散布して下さい。

例)ファンベル顆粒水和剤(RACコードF:11・ M7)→サンリット水和剤(RACコードF:3)→シグナムWDG(RACコードF:11・7

  1. 発病株や感染が疑わる株は速やかに撤去し、ビニール袋等で密閉して処分する
  2. 補植する際に、苗の免疫力を強化するために微生物資材を灌注する
    微生物資材 例:PSコレイーネPSバイオギフトLIQ


写真10 炭疽病

萎黄病
<症状や発生要因>

  • 導管の褐変に伴う新葉の奇形が特徴
  • 高温や乾燥などの根傷みが起こる条件下で発生しやすい
  • ランナー内の導管を経由して感染する
  • 菌の生育適温は28℃前後

<対策>

  1. 発病株や感染が疑わる株は速やかに撤去し、ビニール袋等で密閉して処分する

  2. 補植する際に、苗の免疫力を強化するために微生物資材を灌注する
    微生物資材 例:PSコレイーネPSバイオギフトLIQ

  3. 無病苗を補植しても定植の際に根が傷つき罹病する可能性が高いため、隣の株のランナーを補植する方法がより確実

    写真11 萎黄病

3.2 地上部の病気 うどんこ病

うどんこ病の本格的発病時期は、病原菌が活発になる気温が低下した頃(目安:11月以降)ですが、定植後から開花期までの殺菌剤の「ローテーション散布(以下のRACコードの活用)」による予防がうどんこ病対策のポイントです。

うどんこ病
<症状や発生要因>

  • 葉、果実、葉柄、果梗枝にうどんこ状の白いかびが発生する(果実に発生した場合商品価値が無くなる!)
  • 葉の巻き上りや、花びらの変色(白色→桃色)も特徴
  • 多湿でも乾燥でも発生する
  • チッソ過剰や軟弱徒長で発生しやすい
  • 菌の生育適温20℃前後

<対策>

  1. RACコードを活用したローテーション散布による予防
    ・ 炭疽病が懸念される時期は、炭疽病にも有効な殺菌剤の散布を!
    ・ 灰色かび病が懸念される時期は、灰色かび病にも有効な殺菌剤の散布を!
    灰色かび病にも有効な殺菌剤の例)アフェットフロアブル(RACコードF:7)→フルピカフロアブル(RACコードF:9)→アミスター20フロアブル(RACコードF:11

  2. 薬液は葉の表・裏両面に確実に散布→そのためには散布前の葉かきが重要

  3. 白いかびが発生源となるため、被害部位は速やかにビニール袋等で密閉して処分する

  4. 乾燥でも発生するため適正な湿度の保持(適正な土壌水分を維持)

  5. チッソ過剰や軟弱徒長により発生しやすくなるため、追肥や葉面散布による免疫力強化と茎葉強化が鍵!(詳細は2.2 肥培管理)

3.3 害虫

害虫防除の基本は早期発見・早期防除ですが、ダニが多発する地域・時期には予防散布がポイントです。

ハダニ
<症状や発生要因>

  • カンザワハダニとナミハダニの2種、どちらも成虫の体長は0.5mm程度
  • ハウスの外部からも侵入するが、定植時に苗とともに卵を持込みその後増殖するケースが多い(ハウス内で越冬し、春先以降気温の上昇とともに増加する!)
  • 幼虫、成虫が葉の裏に寄生して吸汁、葉の表面に薄い斑点が発生する
  • 多発すると葉が褐色に変色し生育が停滞、葉の表面にクモの巣が発生する

<対策>

  1. ダニ剤は他の農薬以上に抵抗性が発達し効果が低下しているケースが多いため、RACコードを活用したローテーション散布に加えて、気門封鎖剤や天敵製剤の活用がポイント!
    ・もう一工夫→ほとんどの気門封鎖剤は成虫に対する効果は高いが殺卵効果が無いため、殺卵効果が高いダニ剤との混用が効果的!
    ・防除のタイミングがポイント→マルチ張り以降ダニがマルチ下に潜みダニ剤散布の効果が低下するため、マルチ張りまでの防除が重要!
    気門封鎖剤 例)フーモン(RACコードⅠ:-)、ムシラップ(RACコードⅠ:-)
  2. 薬液は葉の表・裏両面に確実に散布→そのためには散布前の葉かきが重要(特に、ハダニは葉裏に生息するため、下葉かきは必須!)
  3. 乾燥すると発生しやすいため適正な湿度の保持(適正な土壌水分を維持)
  4. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)

スリップス
<症状や発生要因>

  • ミカンキイロアザミウマとヒラズハナアザミウマの2種、どちらも成虫の体長は1.0~1.7mm程度
  • 開花時期にいちごの花に飛来し産卵、その後はハウス内で越冬した後、春先以降気温の上昇とともに増加する
  • 幼虫、成虫が花に寄生し、幼虫が果実を加害した場合、商品価値が無くなる!

<対策>

  1. 1番果(頂果房)開花時期から蕾や花を中心に注意深く観察し、発見した場合は脱皮阻害剤も散布する
  2. 脱皮阻害剤を散布しても、防除できていない場合は殺虫剤(スピノエース顆粒水和剤等)を散布
  3. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)
    脱皮阻害剤 例)マッチ乳剤(RACコードⅠ:15)、カスケード乳剤(RACコードⅠ:15)
    スピノエース顆粒水和剤等 例)スピノエース顆粒水和剤(RACコードⅠ:5)、ディアナSC(RACコードⅠ:5)

ハスモンヨトウ幼虫
<症状や発生要因>

  • 成熟幼虫は約40mm
  • 9~11月に多発する
  • 幼虫が主に新芽、葉を食害する

<対策>

  1. 発見したら、卵塊や幼虫を寄生した葉とともにビニール袋等で密閉して処分する
  2. 幼虫の年齢が進むと農薬が効きにくくなるので、発生初期の若齢幼虫のうちに殺虫剤を散布する
  3. 成虫のハウス内への侵入を防ぐため、開口部や出入り口に防虫ネット(目合4mm以下)の設置も有効
    殺虫剤 例)フェニックス顆粒水和剤(RACコードⅠ:28)、プレオフロアブル゙乳剤(RACコードⅠ:15)


写真12 ハスモンヨトウの被害

イチゴの防除は、ミツバチや天敵への影響を考慮して行うことが重要です。農薬の使用については、各都道府県(病虫害防除所)の指導をご確認下さい。

"定植時の活着から開花期までの栽培管理ポイントと注意点" については以上です。

イチゴ

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