当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

夏秋トマト(雨除けトマト)_栽培管理ポイント_収穫開始から収穫終了まで

トマト

夏秋トマト(雨除けトマト)の場合、温度・湿度・日射量・炭酸ガスなど環境の制御には限界があるため、樹勢低下・花落ち・裂果・艶無し果などの課題に対して、追肥や葉面散布による対応が重要になります。本記事では夏秋トマトの収穫開始から収穫終了までの肥培管理のポイントを高温障害や生理障害の対策なども交えながら、分かりやすくご紹介します。

1. 灌水管理

  • 日射量の増加に伴い水分の要求量が急増するこの時期は、土壌の乾燥により、萎れ・チップバーン(葉先枯れ)・尻腐れ・芯腐れが発生したり、逆に豪雨などにより土壌水分が急激に上昇した場合、裂果が発生するケースがあります。
    具体的に灌水ポイントを要チェック。

  • まずは少量多灌水が基本です。土を固めず団粒構造を崩さないで、全ての株元へ均一に灌水できる点滴灌水チューブが理想的です。

  • 土壌が乾燥気味の場合→樹勢低下と果実の肥大低下、更に乾燥の場合→萎れ、チップバーン(葉先枯れ)、ガク焼け、尻腐れ、芯腐れなどの生理障害を招きますが、逆に糖度や食味は上昇します。

  • 一方土壌が過湿気味の場合は、栄養成長に傾くとともに樹勢が強くなり、乱形果や異常茎を招きます。また、根と微生物が呼吸できずに、上根になってしまい根を深くまで張らせる事が出来ません。毛細根の量も著しく低下します。

  • 天候や土壌水分、生育状況に応じた灌水量とタイミングで適切に調整するためには、テンションメーター(土壌水分計)の活用が効果的です。土壌水分を見える化(数値化:pF値)します。標準的な糖度のトマトのpF値の目安は1.7~2.1です。数値が大きいほど乾燥を示し、数値が小さいほど過湿となります。例:pF2.1以上の場合は灌水量を増やし、pF1.7以下の場合は灌水量を減らします。


写真 点滴灌水チューブ


写真 テンションメーター(土壌水分計)

2. 肥培管理の考え方

2.1 収穫開始から摘芯まで

夏期は、高温によるストレスや根張りの低下により、肥料の吸収が全体的に低下するだけでなく、バランスが崩れやすい時期です。→PsEco植物分析では、トマトが必要とするチッソ・リンサン・カリウム・カルシウム・マグネシウムから微量要素に至るまで適正に吸収できているか分析し、また、吸収できていなければその原因を解明して最適な追肥・葉面散布のメニューを提案します。

灌水と同様「少量多施肥」が重要。できるだけ灌水の度に薄めの液肥を追肥して下さい。肥料の吸収効率が良くなるだけでなく、糖度や食味が安定します。

2.2 摘芯以降

摘芯後は茎葉の成長が低下し、果実の成長が主体になるため、肥料の要求量が低下するだけでなく、要求される肥料成分のバランスが大幅に変わります。摘芯後の肥培管理で重要なポイントをチェック!

①追肥メニューの変更
摘芯後は、チッソの組成(割合)を下げ、チッソ以外のリンサン・カリウム・カルシウム・マグネシウム・微量要素の組成を維持することがポイントになりますが、PsEco植物分析では、分析結果に基づき具体的な追肥・葉面散布のメニューを提案します。

②追肥量の調整
収穫段数が進むにつれて徐々に追肥量を減らしていきます。
(例)1週間・1反当りの追肥のカリウム成分 
   未収穫の段数6段(摘心時):2.4kg
   未収穫の段数4段     :1.6kg 
   未収穫の段数2段     :0.8kg

ただし、収穫期間中、果実の肥大の低下が見られた場合は追肥量を増量

3. 肥培管理のポイント

収穫開始以降の肥培管理では、①発根促進②栄養成長抑制③カルシウム・微量要素の欠乏対策④光合成能力の高い葉づくり⑤樹勢維持⑥果実肥大促進に加えて、強日射・高温による⑦萎れや裂果・日焼け対策、逆に秋雨期の日照不足による⑧光合成不足対策が重要になります。

①発根促進のための追肥と葉面散布

団粒構造と保肥力改善に働くことで知られている腐植酸は、実は土壌微生物の活性化にも非常に効果的です!有機物の分解や団粒構造の形成、肥料の分解や作物の養水分吸収の促進、土壌病害の抑制と根の保護、土づくりと作物の生育には微生物が大きく関係しています。肥培管理と併せて、微生物資材および微生物を活性化させる資材の活用が必須です。

②栄養成長抑制のための葉面散布

吸収効率の高い「亜リン酸」とリン酸の代謝を促進してくれる「酵素」の相乗効果で生殖成長型の草姿を目指しましょう。

③カルシウム・微量要素の欠乏対策のための葉面散布

  • キレートカルシウムによる茎葉強化(例)PSカル
  • マグネシウムと微量要素による葉色改善(例)微量要素の宝船

根張りの促進と栄養成長抑制のため2段開花までは土壌を乾燥気味に管理するため、カルシウムやホウソが吸収しづらくなり、尻腐れ・芯腐れ・葉先枯れ・ガク焼けなどの欠乏症状が発生しやすい!


写真 尻腐れ

④光合成能力の高い葉づくりための追肥と葉面散布

  • マグネシウムと微量要素による葉色改善と花質の改善(例)微量要素の宝船
    光合成能力の高い葉づくりには、光合成を行う葉緑体の構成成分であるマグネシウムと、葉のまだら症状の予防と改善に働く多種でバランスが取れた微量要素がポイント!


写真 葉のまだら症状

⑤樹勢維持のための追肥

  • トマト専用液肥(チッソ・リンサン・カリウム・マグネシウム・微量要素)による株づくり(例)PSアイミックスS2号
  • 有機ミネラル液肥(アミノ酸・チッソ・リンサン・カリウム・マグネシウム・微量要素)による株づくり(例)PSパワーアミノ2号

健全な株づくりには、アミノ酸・微量要素による有効微生物の活性化がポイント!

⑥果実肥大促進と登熟促進のための追肥と葉面散布

  • カリウム主体の総合肥料(チッソ・リンサン・カリウム・マグネシウム・微量要素)による果実の肥大促進(例)PSアイミックスS4号
  • カリウム主体の単肥による、果実の肥大促進(例)硝酸カリ第一リン酸カリ
  • 亜リン酸カリと微量要素による、果実の登熟促進(例)PSダッシュMEネオ
    果実の肥大にはカリウムの追肥量が大きく影響します。果実の肩の部分の張りを観察しながら、追肥量を調整することがポイント!但し、過剰な追肥はカルシウム欠乏症状の尻腐れ果やマグネシウム欠乏の葉のまだら症状を招くことも。

⑦萎れや裂果・日焼け対策のための葉面散布

発根促進やカルシウム・微量要素の欠乏対策のための追肥と葉面散布とともに、天然の糖で、細胞を防御して蒸散を抑制する働きの高いトレハロースの散布がポイント!

⑧光合成低下対策のための追肥と葉面散布

  • アミノ酸と糖分の補給(例)PSアミノシュガー
  • 糖分(トレハロース)の補給(例)アルバトロス
  • 有機ミネラル液肥(アミノ酸・チッソ・リンサン・カリウム・マグネシウム・微量要素)(例)PSパワーアミノ2号
    注: アミノ酸や糖分を含む資材の中には、粘性が強く、目詰りの心配があり、灌水チューブでは使用できないものもあります。点滴灌水チューブでも安心して使用できる資材をご使用下さい。(例)PSパワーアミノ2号

曇雨天続きで日照不足の場合、樹勢を回復させるためにチッソ入り肥料を追肥しても、チッソが同化(アミノ酸の形態を経て植物を構成するタンパク質に転換)するために必要な光合成産物の糖分が不足する結果、未消化チッソが蓄積され葉色が濃くなるだけで、樹勢が回復しないばかりか、組織が軟弱になり病害虫が発生することがあります。こんな時こそ、光合成産物である糖分タンパク質に転換しやすいアミノ酸の登場です。チッソの同化を促進し、樹勢回復だけでなく果実の肥大や食味が改善されます。

4. 高温障害と対策

高温や高地温は、根張り低下樹勢の低下を招き、最終的には落花、障害果(尻腐れ果・裂果・空洞果など)の発生、食味の低下に繋がります。高温対策のポイントをチェック!

4.1 栽培環境の改善

ハウス内の気温や地温を下げることが、高温障害の最も重要な対策となります。

  • 換気(サイドの換気、妻面の換気、循環扇の導入)
  • 遮光資材による遮光(遮光率の目安は20~30%)
  • 塗布資材による遮光
  • 通路灌水。通路に灌水することにより、地温が低下し湿度が上昇します。
  • 地温低下効果の高いマルチの設置


写真 遮光資材と循環扇

4.2 根張り低下の対策

高温や高地温とともに、大雨などによる土壌の過湿も根張りの低下の原因となります。
発根促進対策については、前述(3.①発根促進のための追肥と葉面散布)の通りですが、土壌が過湿な場合は酸素不足が根張りを更に悪化させますので、酸素の供給が根張り促進のカギとなります。

-高温・過湿により酸素不足の土壌へ酸素の供給 (例)M.O.XM.O.X ゴールド

4.3 樹勢低下の対策

樹勢を回復させるためには、①摘果②芽かき③適切な肥培管理がポイント!

①摘果:着果量が多ければ、樹勢の低下→小玉果・空洞果に繋がります。大玉トマトの1果房当りの着果数の目安は品種・着果段数・植付け本数・仕立て本数などにより異なりますが(通常は3~5個)、樹勢により調整することが重要です。

②芽かき:脇芽かきの遅れは、樹勢の低下を招くだけでなく落花→着果数の低下にも繋がります。特に花房下の脇芽は生育が旺盛なため、早めにかくようにしましょう。

③適切な肥培管理:前述(3.⑤樹勢維持のための追肥)の通り、樹勢維持にはチッソ・リンサン・カリウム・マグネシウムを含む液肥の活用と同時に、アミノ酸・微量要素による有効微生物の活性化がポイントになります。


写真 摘果後の様子

4.4 落花対策

高温下でも着果させるためには、①花質を改善するための葉面散布②適切な受粉がポイント!

①花質を改善するための葉面散布

②適切な受粉

マルハナバチを使用する場合

  • マルハナバチは高温に弱く、活動適温は10~25℃程度です。
  • 高温対策としてマルハナバチの巣箱には遮光を行いましょう。
  • マルハナバチが活動していない場合は、ホルモン(例)トマトトーンを活用しましょう。

ホルモン(例)トマトトーンを使用する場合

  • 高温時に高濃度で散布すると空洞果の発生に繋がります。
    低温時(20℃以下)50倍希釈、高温時(20℃以上)100倍希釈が基本ですが、品種や気温に応じて調整することをオススメします。
  • 散布時期が不適切な場合、十分な効果は期待できません。開花前後の3日間が適切な散布時期です。
  • 重複でホルモン処理をすると空洞果の発生に繋がります。
  • ホルモン処理は、温度の低い時間帯&晴天日に行うようにしましょう。

ポイント! トマトトーンにジベレリン液剤を5~10ppm程度添加することで、空洞果の予防に繋がります。


写真 巣箱に遮光する様子

5. 生理障害と対策

5.1 異常茎(めがね)

<症状>

  • 梅雨時期に発生しやすい
  • 茎に裂け目ができて、窓あき状態になる
  • 異常茎が発生した付近の花質は低下し、尻腐れ果や落花が発生しやすい

<発生要因>

  • 日照が不足している場合
  • 樹勢が強い場合
  • チッソの過剰施肥、土壌水分の過剰により、栄養成長に傾くとともに樹勢が強くなった場合
  • 梅雨時期や台風襲来時にハウス内が高温多湿になった場合
  • カルシウムやホウソの吸収不足

<対策>
①樹勢を低下させるために、1本仕立て栽培から2本仕立て栽培へ変更
②土壌の排水性の改善!高畝や土壌の排水性を改善する資材(例)フミリカPSアクティベーターの散布
③栄養成長を抑制して生殖成長を促進のための葉面散布

④カルシウムを補給するために吸収効率の良いキレートカルシウム資材(例))PSカルの葉面散布
⑤ホウソを補給するための微量要素資材(例)スペシャルME-SC微量要素の宝船の追肥または葉面散布

ポイント!異常茎が発生した時の対処方法:
異常茎が発生すると、最悪の場合芯止まりを起こす場合があります。異常茎が発生した直下の側枝を残して、最終的に主枝と側枝で生育が良い方を残すようにしましょう。


写真 異常茎(ねがね)

5.2 艶なし果(すりガラス果)

<症状>

  • 果実表面の艶がない
  • すりガラス果は小玉の傾向がある

<発生要因>

  • 基本的には受精不良が原因
  • 高温や萎れによって花質が低下した場合
  • ホルモン処理が不適切であった場合(散布時期・散布濃度・散布量など)
  • 樹勢が強い場合

<対策>
①換気や遮光などによる高温対策
②ホルモン処理を適期に適切な濃度で実施
③マルハナバチの導入により適正な受粉
④花質改善のための葉面散布


写真 艶なし果(左)通常の果実(右)の様子

5.3 尻腐れ果・芯腐れ果

<症状>

  • 尻腐れ果は、果実の先端部分(お尻部分)が褐色から黒色に変色
  • 芯腐れ果は、果実の芯部が褐色から黒色に変色


写真 尻腐れ果

<発生要因>
尻腐れ果・芯腐れ果は、基本的にカルシウムやホウソの不足により発生します。土壌中にカルシウムが不足している場合よりも、以下のような要因で根からの吸収が低下したり、植物体内を移行できないために発生することが多い!

  • 土壌の乾燥や過湿により根張りが低下
  • 高温、乾燥、強日射などの環境条件
  • 葉面積が大きく葉の枚数が多いなど過繁茂
  • チッソ過剰(特にアンモニア態チッソ)及びカリウム・マグネシウム・ナトリウムなど塩基類の過剰
  • カルシウムの働きを助けるホウソの不足

ポイント!一般的に、尻腐れ果はカルシウム欠乏症、芯腐れ果はホウソ欠乏症と言われていますが、PsEcoの長年の分析結果により、尻腐れ果・芯腐れ果どちらもカルシウムとホウソの不足が関係していることが分かってきました。

<対策>
①土壌水分を適正に維持するため、天候や生育状況に応じて灌水量と灌水頻度を調整

ポイント!土壌水分が適正か判断するには、テンションメーター(土壌水分計)の活用がお勧めです。使い方はカンタンで、根域の土壌水分が一目瞭然。

② 換気や遮光などによる高温対策
③ 適正な樹勢を維持するとともに適切な葉かき
④ カルシウムを補給するために吸収効率の良いキレートカルシウム資材(例)PSカルの葉面散布、ホウソを補給するための微量要素資材(例)スペシャルME-SC微量要素の宝船の追肥または葉面散布
⑤ 発根促進資材(例)PSマリンパワーアーキア酵素むげんの追肥または葉面散布により根張りの強化
⑥ 土壌中でリンサン固定されたカルシウムを有効化(キレート化)するために、有機酸資材(例)PSリンクの継続的な追肥

5.4 裂果

<症状>
果実が放射線状に割れる
果実が同心円状に割れる


写真 果実が放射線状に割れる裂果

<発生要因>
裂果は、急激な土壌水分や養分の吸収により果実が急激に肥大することにより発生しやすい。

  • 土壌水分の急激な上昇
  • 高温、強日射、乾燥
    (夏季の高温、強日射、乾燥により果皮が硬くなり裂果)
  • ハウス内の多湿
    (結露が発生すると果実が吸水して裂果)

<対策>
① 土壌水分を適正に維持するため、天候や生育状況に応じて灌水量と灌水頻度を調整
② 通路灌水や遮光による湿度維持や気温低下(果実温度の低下)
③ 樹勢が低下しがちな生育の中盤以降まで樹勢を保つことで、適度な大きさの葉を維持し、果実に直射日光を当てない
④生育初期の段階から根張りが良く締まった株を作ることが重要
発根促進資材(例)PSマリンパワーアーキア酵素むげんPSバイオギフトLIQPSコレイーネや栄養成長抑制のための亜リン酸カリ(例)PSダッシュMEネオの追肥または葉面散布
⑤保湿効果の高いトレハロース資材(例)アルバトロスを葉面散布することにより蒸散を抑制

6. 病害虫対策

6.1 病気

とにかく!早期予防・早期防除で、多発・まん延させないことが重要です。後手にまわってしまい、多発・まん延してからでは防除は困難です。さらに!薬剤抵抗性にも注意したローテーション散布が必要です。

灰色かび病

<症状や発生要因>

  • 葉、花、果実、茎に灰色のかびが発生する
  • 傷口や枯死した部分から発生しやすい→葉先枯れは病原菌の侵入口となるので要注意
  • 花弁にかびが密生し、花落ち部から果実に広がる場合が多い
  • 果実に発生した場合は腐敗する、果実に白い病斑(ゴーストスポット)が発生することもある
  • 多湿条件で発生しやすい
  • チッソ過剰や軟弱徒長で発生しやすい
  • 菌の生育適温20℃前後

<対策>

  1. RACコードを活用したローテーション散布による予防
     例) ベルクートフロアブル(RACコードF:M7) →セイビアーフロアブル20(RACコードF:12)→パレード20フロアブル(RACコードF:7)
  2. 多湿条件で発生しやすいため、換気・早朝加温・マルチなどにより適正な湿度を維持
  3. 過繁茂にならないように、密植を避け、適宜葉かきを行なう
  4. かびが発生源となるため、被害部位は速やかにビニール袋等で密閉して処分する
  5. 花落ちの悪い品種の場合は、受粉後花弁を摘み取る方法が有効
  6. チッソ過剰や軟弱徒長により発生しやすくなるため、追肥や葉面散布による免疫力強化と茎葉強化が鍵!

ポイント
本格的な保温を開始(天井だけでなくサイドも完全に被覆)以降は、ハウス内が過湿になり、果実に白い病斑(ゴーストスポット)が発生しやすくなりますので、下葉かきにより、通気性の改善と葉からの水分の蒸散を抑えることが重要になります。

一般的に、本格的な保温開始以降はハウス内が過湿になると言う理由で農薬散布を控えますが、免疫力向上のため、反当り50L程度の少量の水量での微生物資材(例)PSコレイーネPSバイオギフトLIQ の葉面散布がオススメです。


写真 灰色かび病

葉かび病

<症状や発生要因>

  • 葉の表面に淡黄色の小斑点が発生、その裏面には緑褐色のビロード状のかびを密生する
  • 症状が進行すると光合成が低下し減収
  • 多湿条件で発生しやすい
  • 軟弱徒長で発生しやすいが、肥料不足や樹勢低下時も発生しやすい
  • 菌の生育適温20~25℃前後

<対策>

  1. RACコードを活用したローテーション散布による予防
     例) ベルクートフロアブル(RACコードF:M7) →ラリー乳剤(RACコードF:12)→パレード20フロアブル(RACコードF:7)
  2. 多湿条件で発生しやすいため、換気・早朝加温・マルチなどにより適正な湿度を維持
  3. 過繁茂にならないように、密植を避け、適宜葉かきを行なう
  4. かびが発生源となるため、被害部位は速やかにビニール袋等で密閉して処分する
  5. 抵抗性品種の導入
  6. 追肥や葉面散布による免疫力強化と茎葉強化が鍵!


写真 葉かび病

うどんこ病

<症状や発生要因>

  • 葉の表面にうどんこ状の白いかびが発生し、その後葉が黄化する
  • 多発した場合は、下葉から枯れ減収する
  • 乾燥条件で発生しやすい
  • チッソ過剰や軟弱徒長で発生しやすい
  • 菌の生育適温20~25℃前後、秋と春に発生が多い

<対策>

  1. RACコードを活用したローテーション散布による予防
     例)アフェットフロアブル(RACコードF:7)→ダコニール1000(RACコードF:M5)→トリフミン乳剤(RACコードF:3)→ ベルクートフロアブル(RACコードF:M7)
  2. 乾燥条件で発生しやすいため、過乾燥に注意
  3. 過繁茂にならないように、密植を避け、適宜葉かきを行なう
  4. かびが発生源となるため、被害部位は速やかにビニール袋等で密閉して処分する
  5. チッソ過剰や軟弱徒長により発生しやすくなるため、追肥や葉面散布による免疫力強化と茎葉強化が鍵!


写真 うどんこ病

かいよう病

<症状や発生要因>

  • 種子伝染もしくは土壌伝染
  • 土壌から伝染する場合、根から感染するか、茎葉の表面に菌が付着することで感染する
  • 下位葉から萎れや葉枯れが進み、徐々に拡大する
  • 葉かきやわき芽かきの傷口から感染する
  • 多湿条件で感染拡大しやすい
  • 菌の生育適温は25~28℃前後

<対策>

  1. 土壌消毒を行う
  2. 耐病性の台木を使う(例)アシスト
  3. RACコードを活用したローテーション散布による予防
     例)マイコシールド(RACコードF:41)→カッパーシン水和剤(RACコード F:24,F:M1)→マスタピース水和剤(RACコード NC)
  4. 多湿条件で発生しやすいため、換気・マルチなどにより適正な湿度を維持
  5. 過繁茂にならないように、密植を避け、適宜葉かきを行なう
  6. 葉かきや脇芽取りは、傷口が乾きやすい晴天日に行う。
  7. ハサミを使う場合は消毒剤(例)ケミクロンGで消毒する。


写真 かいよう病

6.1 害虫

コナジラミ

<症状や発生要因>

  • オンシツコナジラミとタバココナジラミの2種、どちらも成虫の体長は1.0~2.0mm程度
  • 幼虫、成虫が葉裏に寄生し吸汁し、その部分が白色に変色
  • 幼虫、成虫が排泄する甘露が付着した部分に黒いかびが発生
  • タバココナジラミの場合、果実に着色ムラが発生することがある
  • タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルスを媒介する
  • オンシツコナジラミはトマト黄化ウイルスを媒介する

<対策>

  1. 定植時の殺虫剤の畝穴土壌混和処理や灌注処理
    例)アルバリン粒剤(RACコードI:4A)
    ベストガード粒剤(RACコードI:4A)
    ベリマークSC(RACコードI:28)
  2. RACコードを活用したローテーション散布による防除
    例)アニキ乳剤(RACコードI:6)→
    コルト顆粒水和剤(RACコードI:9B)→
    ディアナSC(RACコードI:5)→
    トランスフォームフロアブル RACコードI:28)
    抵抗性が発達しにくい気門封鎖型の農薬もお勧めです。
    サフオイル乳剤(RACコードI:未)
  3. ハウスでは、天窓やサイドなどの換気部に防虫ネットを張って、外からの侵入を防止する
  4. 白色マルチなど反射資材をハウスの周辺部に設置して、外からの侵入を防止する
  5. 黄色粘着板や粘着ロールを設置して、発生の確認と捕殺
  6. 発病株は伝染源となるため、速やかにビニール袋等で密閉して処分する
  7. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)

アザミウマ

<症状や発生要因>

  • ミカンキイロアザミウマとヒラズハナアザミウマの2種、どちらも成虫の体長は1.0~1.7mm程度
  • 幼虫、成虫が葉に寄生し吸汁し、その部分が白色・褐色に変色
  • 開花時に子房に産卵した場合、果実に産卵跡が白ぶくれ症状として残る
  • トマト黄化えそウイルスを媒介する

<対策>

  1. 定植時の殺虫剤の畝穴土壌混和処理や灌注処理
    例)プリロッソ粒剤(RACコードI:28)
    ベリマークSC(RACコードI:28)
  2. RACコードを活用したローテーション散布による防除
    例)スピノエース顆粒水和剤(RACコードⅠ:5)→マッチ乳剤(RACコードⅠ:15)→
    ディアナSC(RACコードⅠ:5)→
    ベネビアOD(RACコードⅠ:28)
  3. ハウスでは、天窓やサイドなどの換気部に防虫ネットを張って、外からの侵入を防止する
  4. 白色マルチなど反射資材をハウスの周辺部に設置して、外からの侵入を防止する
  5. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)

ハスモンヨトウ

<症状や発生要因>

  • 蛾の仲間、幼虫の体長は5~40mm程度
  • 幼虫が葉、蕾、果実を食害する
  • ふ化幼虫は集団で食害するため、葉を食い尽くされることもある
  • 老齢幼虫になると、果実を食害する
  • 初夏から秋にかけて発生が多い

<対策>
1.齢期が進むと農薬の効果が低下するため、 若齢期にうちに防除することが重要
2. RACコードを活用したローテーション散布による防除
例)アタブロン乳剤(RACコードⅠ:15)→フェニックス顆粒水和剤(RACコードⅠ:28)→ディアナSC(RACコードⅠ:5)
3. ハウスでは、天窓やサイドなどの換気部に防虫ネットを張って、外からの侵入を防止する
4. 黄色灯(防蛾灯)も効果あり
5. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)

オオタバコガ

<症状や発生要因>

  • 蛾の仲間、幼虫の体長は10~40mm程度
  • 幼虫が果実や茎の内部を食害する
  • 初夏から秋にかけて発生が多い

<対策>
1.果実に侵入する前の 若齢期にうちに防除することが重要
2. RACコードを活用したローテーション散布による防除
例)アタブロン乳剤(RACコードⅠ:15)→フェニックス顆粒水和剤(RACコードⅠ:28)→スピノエース顆粒水和剤(RACコードⅠ:5)→アニキ乳剤(RACコードⅠ:6)
3. ハウスでは、天窓やサイドなどの換気部に防虫ネットを張って、外からの侵入を防止する
4. 黄色灯(防蛾灯)も効果あり
5. ハウス周辺の雑草に寄生するため除草する(意外と怠りがち)

トマト及びミニトマトの防除はマルハナバチや天敵への影響を考慮して行うことが重要です。農薬の使用については、各都道府県(病虫害防除所)の指導をご確認下さい。
上記の使用例では、トマトとミニトマトの両方に登録された農薬を記載しています。

"夏秋トマト(雨除けトマト)栽培管理ポイント収穫開始から収穫終了まで" については以上です。

トマト

関連商品

エコノTAPE508-10

肉厚0.2㎜なのに安価!10cmピッチの点滴チューブ1,000m巻き、肉厚0.2mm、吐水口間隔10cm

26,730 (税込) / 1000 m

PSカル

キレートカルシウム液肥の傑作!カルシウムの2大問題を即効解決!若い葉や果実など欲しい所に届きにくい(効果性)、リンサン液肥と混用できない(作業性)。効果の違いは主原料の差!キレート効果が高いEDTAカルシウム。うれしいお徳用サイズ10L、20Lも!

56,452 (税込) / 20 L

PSアクティベーター

生育不良の主な原因は土壌にある!?団粒構造改善と塩類分解を徹底サポート、液剤タイプの腐植酸!かん水するだけでカンタンに続けられる土づくり!土壌改良の仕事人「微生物」にもアプローチ、ぐんぐん菌活!土を育てませんか?うれしいお徳用サイズ10L、20Lも!

67,716 (税込) / 20 L

PSマリンパワー

海藻エキスが、「根」と「葉」本来の働きを引き出す!作物は、様々なダメージと戦い疲れている。:高温干ばつ・低温・日照不足・多雨・連作土壌・成り疲れ生育の土台である「根」と光合成を行う「葉」の働きを高める、収量・品質アップの限界へ挑戦し続けるために!うれしいお徳用サイズ10L、20Lも!

91,564 (税込) / 20 L

PSダッシュMEネオ

リン酸の利用効率をついに改善した「亜リン酸」に、カリと微量要素を配合。だから、葉面散布でもかん水でも「吸収」と「転流」が即効的!そして、驚きの免疫力アップ効果!うれしいお徳用サイズ10L、20Lも!

22,385 (税込) / 5 L

PSバイオギフトLIQ

病原菌が一番嫌いなタイプの糸状菌!液状タイプで使いやすい!ほとんどの農薬とも混用可能!厳しい環境下でも効果的な細菌タイプ(例:PSコレイーネ)と、繁殖力旺盛な糸状菌タイプのPSバイオギフトの併用がオススメ!

18,733 (税込) / 1 L

土壌・植物・水質分析について

「土作り」から「あなたの夢」まで寄り添います。
PsEcoは、その夢を実現するため、常に農家の皆様一人ひとりと繋がっています。

現場の様々な情報と分析結果を活用し、必要なものを必要な量だけ。高品質で高収量、無駄なコスト削除。
バイオロジカルでエコロジカル、さらに持続可能な農地環境の創造をご提案いたします。
分析料金は、各分析(土壌・植物・水質)1検体あたり11,000円(税込)です(別途、検体の発送料が必要です)。

分析を注文する
>